(四)

文字数 506文字

「ねえ、知ってる? クローバーの花言葉。幸運以外にも色々意味があるんだって。私のことを思い出してとか、私のものになって、とか。その中にね、三つ葉のクローバーにはね、復讐っていう意味もあるんだって。約束とか、初恋とか、そういう意味もあるのに、復讐だって。だから、そんな花言葉は嘘だと思っていた。何かの間違いだって思っていた。そして昨日、読んでいた本に挟んであったしおりが落ちたの。押し花にした四つ葉のクローバーで作ったしおりが。そのときにクローバーの葉っぱが、一つ落ちてしまったの。四つ葉だったのに三つ葉になってしまったの。そのときは全然気づかなかった。そんな怖い花言葉があることも完全に忘れていたわ。でもあなたの部屋に入ってから、玄関のドアを開けて、中に入って、部屋のドアを開けて、そこであなたのあんな姿を見るまでは。でも、思い出しちゃった。あなたの姿を見た瞬間に。ベッドの上のあなたの姿を見た瞬間に。見たことのない女と一緒にベッドに横たわっているあなたの姿を見た瞬間に。その後、どうなったのか、何をしたのか、何が起きたのか、私は全く覚えていない。でも今この状況を見ると、多分、全部私がやったのだと思う」

(続く)
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