エピローグ

文字数 476文字

 投手が求められる能力。
 スピードガンの初速の表示なんて、投手の能力が全部で100あるとしたら、その97番目くらいだろうと、僕は思っている。
 打者から見て「速い球」でさえあれば、それでいい。
 手元で伸びて、打ちにくければ、それでいい。

 安定して粘り強く、表情一つ変えず淡々と投げ続ける。
 打たれても打たれても、まして豪快に炎上しても、それで命までとられる訳ではない。
 だから自分の出来る投球を淡々とやるだけだ。
 僕は何も恐れない。
 とにかくそれしかないし。
 それ以外に出来ないし。

 僕が授かったピッチングの能力は限られていたけれど、それを補うために、僕はいろんなことをやった。
 そしてそのための努力を…、それをやることは僕にとって少しも苦痛ではなかった。
 毎日毎日努力することだけが、僕の取り柄だったかな。
 そしてそれは、楽しくて楽しくて仕方がないことだったんだ。
 だって僕はやっぱり野球が、そして「投げる」ことが大好きだから。

 そして新しい人生。
 新しい仕事を頑張ろう。
 そして、野球を楽しもう!

 投げる 完
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