第1話 第7のポエム

文字数 1,663文字

みんな老いていく
みんな死んでいく

それなのに一人だけ若いまま
生きていようとしても無理がある

何も考えず心地よい音楽に
身を任せればそれでいい

若い時生きるのが困難でもがいていた
それが今こんなにも生きるのが楽になった

欲を捨てればそれでいい
最低限で満たされる

後は死ぬだけで満足


















金襴緞子の帯しめながら
花嫁御寮は何故泣くのだろ

この童謡も母がよく歌っていた
貧しい家に生まれた母は結婚に憧れていた

母は父と結婚するのだが言うに言われぬ事情があった
花嫁姿の写真を私が目にする事は一度もなかった

いろいろな想いを抱えて歌っていたのだろう
私には知る由もなかった


















憂鬱な美しい音楽の調べ

私を癒してくれる

心が沈む時は徹底的に沈んでよい

音楽は疲れ切った頑なな心に寄り添ってくれる

暫くは打ちひしがれてもいい

今は死んだ人たちと語らってもいい

そのうちに目覚めよと呼ぶ声が聞こえるだろう

生きてさえいればやり直しはきく

明日に向かって頑張ろう



















この世は自殺するに値しない

自殺するのは外界のほうだ

自分を絶対者と思って生きよ

この世のあらゆる愚かさが見えてくる

嫉妬妬み嫉み汚濁殺意侮蔑不潔傲慢横暴醜悪憎悪

に満ちているこの世界

馬鹿馬鹿しさに飲み込まれるな

自分以外を信じるな

神以外と対峙するな

外界は存在しない

無だ


















少女の孤独は崖から落ちて完成する
濁った空間に浮遊する少女
ほんの少しの躊躇いがある
夢(無)の空間へ飛躍する
私は心沈んで見ている
少女は意を決して
夢へと堕ちていく



















愛しているよ

時がどんなにたっても

時が終わりを告げても

僕と君は永遠を誓ったんだ

世界が闇に消えても

神様が命を終えても

二人の愛は永久に光輝く

祝福された青春は甘美に咲き誇り

優美な裸身のまま花園を駆け回る

夜になり無数の星が降りそそぎ

目醒めを知らない夢の眠りに落ちていく
















若い日の感性はそれを過ぎた者にとっては永遠に失われた
世界である。青春は激しく荒々しく優しく繊細な季節である

二度と戻らない儚い季節だからこそ素晴らしい。生や死について
一番考える時代である。ロマンティックで衝動的な世代である

純粋に人を愛し求め永遠を信じる時代である

















憂鬱を取るため少しだけお酒を飲む

私は人が酔っている姿を見るのが大嫌いだ

気分が大胆になり要らぬ事まで話し出す

人を傷つけようが全く気にしなくなる

だからお酒が嫌いだった

でも憂鬱が強いので少しだけお酒を飲む

自分の精神状態をはかりながら慎重に飲む

気分が楽になった所で止める


















この世を去る時が近づき

何も理解できず何も成し遂げられず

失意のうちに死んでいくのが残念でならない

人生とはそんなものだという気もする

栄光に包まれた人生の方が良いだろう

だが人には運命がある

若いうちは運命に立ち向かうのも良いだろう

だが年老いたら受容する以外ない

それが人生だ















自分の知らない所で世の中が流れていく

世の中の誰もその流れに追いつけない

確実なのは時間が流れること

そこで生き物が様々な活動をすること

若い時は時代に追いつこうと必死だったが

今はもう時代が流れるのに任せている

自分の関係ない所で世の中が流れていく

誰もが関係ない所で流れていく
















死ぬことへの恐怖感はじわじわと増して
その夜発狂しそうになるほどだった

数少ない楽しかった時の思い出も
泣きそうなほどつらい思い出も全てなくなる

苦しみも悔しさも
子供の時の無邪気な遠い記憶も全てなくなる

無という恐ろしい空洞に飲み込まれてしまう
燃え盛る炎に焼かれて骨になってしまう

























自分の全てが受け入れられないと腹が立つ
相手の自由が気に食わない

首の骨を折ってでも言うことを聞かせたい

DVは子どものような我儘が原因だと思われるが

誰もが相手を自分に跪かせたいと思っている
誰もが暴君に憧れている

自分の自由にならない者は殺してしまえという
感情からDVは起きている





















母が苦労を重ねて私を育てた
その苦労は並大抵のものではなかった

休みの日には遊園地に連れて行ってくれた
母は電車の中で寝ていた
何故寝ているのか分からなかった

今になってみれば分かる
母は疲れ切っていたのだ

私は幼い時非常に可愛がられていたらしい
幼い日の事は夢の中でしか思い出せない
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