第21話 USJと君のなみだ
文字数 2,368文字
集合場所に全班が集まると、先生の誘導で貸切バスに乗り込み、移動の車内ではみんな興奮気味で盛り上がっている。
現地に着くと班ので集まって行動が、開始された。
まず、みんなが乗りたがったのは絶叫系のアトラクション…
正直俺は絶叫系はあまり得意じゃない…
でも凄く苦手なわけでもないので、班のみんなで決めたペアで乗る。
俺は冬月さんと隣に乗るとベルトをしめる。
冬月さんの表情はまだ発進前なのに強張っている…
無理はしないでね…俺も得意じゃないから、気持ちわかるし…
発進した絶叫系のアトラクション…
前にいる神谷と愛は楽しそうだ…
後ろからも酒井さんと明の楽しそうな声が聞こえる…
横を見ると冬月さんは死にそうな顔をしている…
1回目の絶叫系アトラクションを乗り終えると、みんなはまた違う絶叫系はアトラクションに乗りたがった(汗)
冬月さんも一生懸命頷いている。
再び違う絶叫系アトラクションにペアで乗ると、冬月さんは半泣き状態だった…
でも、乗り終えると無理をして、平然を装っているため、みんなは気づいていない…
次も、絶叫系をみんなが選んで冬月さんは頷いたけど、多分限界だと思う…
俺ちょっと気持ち悪くなってたから、4人で行ってきなよ(笑)冬月さんはペアだから、少し看病頼みます(笑)
俺がそう言うと、明に散々ヘタレとかみっともないとか言われた…
酒井さんや愛も少しがっかりしていそうだった。
神谷は心配してくれたけど…
4人に行かせると、冬月さんを座れそうな場所に座らせた。
冬月さんを男子トイレにつれていくわけにもいかないし、女子トイレに俺が付き添うわけにもいかない…
車椅子用のトイレに急いで二人で入ると、便器に向かって吐く冬月さんの背中をさすった。
吐き終わると冬月さんは少し体調が良くなったみたいだ。
トイレを出ると、席に座らせて、目の前にある自販機で水を買ってきて渡した。
吐いて涙目になっていた冬月さんが今度は、泣き始めた…
ちょっと周りの人達の視線が気になる…
(俺が泣かせたみたいに思われてる…?)
す、すまん…
せっかくみんなが楽しんでるのに…
邪魔して(泣)
大丈夫だよ。俺もそんな得意じゃないから気持ちわかるしさ。
それによく頑張ったよ。あの表情からして本当は1回目ですでに体調悪くなってたんじゃない?
無理することないよ。
みんなせっかく同じ班になってくれて、仲良くしてくれたのに…
空気読めないやつとか、お荷物とか思われたくなかったんだよ…
なのに…だめだった…
冬月さん。前の学校では、周りはそういう人達だったのかな?
大丈夫だよ。ここにいる人達はそんな人達じゃないと思うよ?
お荷物とか誰も思うような人達じゃないよ。
それにさ、冬月さん一人で抜けたわけじゃないだろ。俺もそんな得意じゃないから、ここで一緒に待機したいくらいだからさ。
だから、無理することはないよ。
次、みんなが絶叫系行きたい時は、俺と冬月さんは違うのに行ってもいいしさ。
俺がそう言うと冬月さんは渡したペットボトルの水を飲みながら、少し泣き止んだ。
龍一は顔はイケメンなわけじゃないけど、良いやつだな(笑)
ゲロまで見られちまった(汗)
それは褒め言葉?(笑)
みんなの前ではゲロとか言わないようにね(汗)
何でって、なんとなくだよ。見てりゃ、なんかそんな気がしたからな。
協力してやろうか?
正直、有り難い話だ…
同じ班で、しかも女子の協力者…
え〜いつからって言われると、小学3年生のときくらいからかな…
え?!マジで?!3年生だと9歳くらいからだよね?今、高2だから17なるよな?
8年くらい想い続けてんのかよ?!
あ、はい…小学生の時、何も言えず…
中学生の時も何も言えず…
そして現在、高2になります(笑)
そうか。じゃあ、いつも色々と助けてくれる龍一に感謝の気持ちだ。協力してやる。
修学旅行で少しでも近づいて、これから先も文化祭とか、体育祭とかあんだろ?
恋のお手伝いしてやるよ。めでたく恋人になれても、二人とも友達でいてくれな。
も、もちろんだよ。
でも、あからさまなのとか暴露したりとかそういうのは、やめてよ?
私がそんなバレバレな手を使うと思うか?
任せとけよ。これでも、昔の記憶がなくても、ここに来る前の高1の時は彼氏もいたんだぞ。
(そうだったんだ?!恋愛マスター的な?でも、その口調で付き合ってた彼氏って…)
その彼氏って人にも、今みたいな口調で話してたのかな?
あぁ。そうだ。あっちから告ってきたくせに、付き合ってすぐ振ってきやがったんだよ。3日で別れた。
手を握ってこようとしたり、キスをしようとしてきたから、キメーんだよって言って殴ってやった(笑)
(それって付き合ったに入るのかな…本当に大丈夫かな…)
はぁ?なんだよ、あんまり期待してないって。
大丈夫だ。安心しろ。この私が色々とアドバイスしてやるし、愛さんにも色々と上手くいくように間取り持ってやるからな。
(この私って冬月さん自分に結構自信ある感じ?ナルシスト?確かに冬月さんは白石 千春だし、モテるはずだとは思うけど、恋愛マスターとかではないんじゃないかな…)
俺と話しているうちに、冬月さんはすっかりいつも通りに戻ったし、体調も戻ったみたいで、何よりだ。
みんながアトラクションを終えて戻って来ると、夕飯を食べようということになった。
そしてここから、自称恋愛経験が豊富な冬月さんのちょっとした暴走が始まる…
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