詩小説『古びた遊園地の冷めたコーヒーカップ』3分の色褪せた風景。

エピソード文字数 607文字

古びた遊園地の冷めたコーヒーカップ

僕と君乗せコーヒーカップよ、
廻れ、廻れ。
夢の中へ連れてって。
もう二度と、
醒めることのないように。

古びた遊園地。人はまばらで。
ゲートは開かれた。やけに静かに。

色褪せた回転木馬も、
白馬は笑ってるみたいだ。
汚れた立て髪なびかせて。

錆びたゴンドラに乗り込み。
カタカタと浮かんで行くよ。
見下ろした町並みと。
僕等が居た、あの星座と。

冷めたコーヒーカップよ、
廻れ、廻れ。
湯気立つほど、
熱かった時想い出すように。

苦いコーヒーカップよ、
廻れ、廻れ。
甘ったるくらい砂糖を溶かすから、
手を握ろう。

色褪せた遊園地。
こじんまりと。寂しげに。
音楽は鳴り響く。

色とりどりのゴンドラぶら下げて、
消えることのない花火みたいに、
ゆっくりと廻っていた。
ただ静かに廻っていた。

シロクマの着ぐるみは、
僕等を見つけ飛び跳ねた。
受け取ろうとした時に、
風船は飛んでいった。

シミ作るコーヒーカップよ、
廻れ、廻れ、
洗い落とせないような虚しさも、
ワンポイントの模様になるように。

香り立つコーヒーカップよ、
廻れ、廻れ。
ふたりを包み込むように、
癒しておくれよ。

混ざり合うように、
溶けだすように、
僕等は挽きたてられる。

僕と君乗せコーヒーカップよ、
廻れ、廻れ。
夢の中へ連れてって。
もう二度と、
醒めることのないように。
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登場人物紹介

主人公はあなたです。それぞれの恋愛模様を『詩小説』で。

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