第一章・第一話 彼女の選択【前編】

文字数 6,551文字

「――御台(みだい)様」
 訪れた天璋院(てんしょういん)の居所で、その(おとな)いに始めに気付いたのは、彼女付きの侍女・幾島(いくしま)だった。
 幾島は、膝を折って軽く一礼する。そんな彼女に、和宮(かずのみや)は大股で近付きながら声を掛けた。
「幾島。先触れもなく、ごめんなさい。義母君(ははぎみ)はいらっしゃる?」
「はい、中に」
 天璋院の(もと)へ通う内、今では幾島も和宮を現御台所(みだいどころ)、つまり、天璋院の正当な後継者と認めてくれるようになったらしい。それは、天璋院の居所の女中たちも同様で、あの毒キノコ事件の際に訪ねた時とは別人のような態度で遇してくれるようになっている。
「まあ、御台様」
「ようこそのお越しを」
「天璋院様。御台様がおいでです」
 チラリと滝山のほうを見ると、口々に和宮を出迎える女中たちの態度に、滝山は唖然としているように見えた。
「まあ、御台。今そちらへ出向くところだったのですよ」
 女中たちの声に、居所の主人である天璋院も部屋から出て来る。
「義母君。先触れもなく、失礼いたします」
「何を言うのだ。さ、こちらへ。昨夜(ゆうべ)は大変だったと聞いたから、訪ねようと思っていたのだ」
「恐れ入ります。義母君も、誤報で夜中に避難されて、お疲れでしょう」
「お気遣いありがとう。でも大丈夫」
 弓を持っていない右手を無造作に引かれ、和宮はとっさに表情を取り繕えなかった。ギクリと身体が強張(こわば)ったのを、天璋院に気付かれたらしい。
「御台?」
「あ、いえ……」
 天璋院は、さっと周囲に目を走らせると、さり気なく反対側に回った。彼女が和宮の左手を取ったので、和宮は左手に持っていた弓を右手に持ち替える。
「ところで、今日のこの格好は、どうしたのだ?」
「申し訳ございません。昨日の騒動でその……まだ武家の服装に慣れぬ所為か、どうにも動き辛くて。此度の件が解決するまで、この格好でご容赦願えないでしょうか」
 すると、天璋院は微苦笑を浮かべ、和宮の手を引いた。
「とにかく入って、お座りなさい。昨夜の件に付いては、何か聞いているか?」
「はい、義母君。そのことで伺いました。あの……」
 和宮も、周囲をチラリと見回して、(ひそ)めた声で続ける。
「人払いをお願いできますか?」
 天璋院は、表情を動かさなかった。だが、すぐに幾島に目を向け、「人払いを」と命じる。
 幾島は、それを受けて軽く一礼すると、手を振ってほかの女中たちを下がらせた。そして自らは、また頭を下げながら、和宮たちのいる部屋の障子を閉じる。
 人払いを、と言っておきながら、滝山が残っているのが気になったのか、天璋院は滝山に目を向けた。
「あ、彼女はいいんです」
 寧ろ、滝山には残っていてもらわないと、意味がない。
 天璋院は、変わらず首を傾げただけだったが、滝山についてはそれ以上訊かずに、「お座りなさい」と下座を示した。
 天璋院が上座に着くのを待って、和宮も示された場所へ腰を下ろす。
「それで、昨夜は本当のところ、何があったのです」
「それが……曲者が侵入して、火之番(ひのばん)が数名、命を落としました」
「何と……」
「そのことで、今調べを始めたところなのです」
「分かりました。わたくしもできることがあれば、協力しましょう」
「感謝します、義母君」
 和宮は頭を一つ下げて、口を開く。
「では、早速ですが、火之番の中でこの一月(ひとつき)ほどの間に、新しく雇い入れた者か、もしくは元々奥にいた者で昇級した者がいないか、義母君から滝山に訊ねてくださいませんか」
「何?」
 天璋院は目を丸くし、次に滝山を見た。釣られて滝山を見ると、彼女は顔を強張らせて、心なしか首を縮めているように思える。
「そなたの目の前にもおるではないか。わざわざ……」
「申し訳ございません。ひとえに、わたくしの御台所としての不徳のいたすところなのですが……先程、同じことを滝山に訊ねましたが、ガンとして答えてくれぬのです」
「何と?」
 今度ははっきりと、天璋院が滝山を睨み付けた。滝山が何か返すよりはやく、和宮は言葉を継ぐ。
「始めが始めだったので、御台所としての信用がないのは、ある程度やむを得ないと承知しております。それは時間を掛けて築くべきであることも分かっておりますが、遺体の保管のこともあって、今はその、肝心の時がないのです。わたくしには答えてくれませんが、義母君のご下問なら答えが得られると思い、連れて参りました。何卒(なにとぞ)、お力添えを」
「まったく……」
 どちらに対するぼやきか分からない呟きを漏らすと、天璋院は改めて滝山に目を向けた。
「滝山」
「……はい、天璋院様」
「この件が終わるまでは、御台の指示に従うのだ。よいな」
「ですが、天璋院様」
「口答えは許さぬ。そなたが無駄な意地だけで口を閉ざしたり、協力を拒んだりすれば、それだけ此度の件の解決が遅れる。それは巡り巡って、そなたにも害を及ぼすやも知れぬのだぞ」
「……申し訳ございません。非礼の段、何卒ご容赦を」
(……前にも聞いたわね、その台詞)
 深々と頭を下げる滝山を見ながら、和宮は呆れたように目を細める。しかし、滝山が頭を上げた時には、和宮も表情を戻していた。
「だが、せっかくここまで訪ねて参ったのだ。滝山。先程の御台の質問に答えよ。わたくしが繰り返す必要があるか?」
「……いいえ」
 再度、顎を引くようにして俯いた滝山は、チラリと和宮へ目を向ける。不服気なそれと視線が絡んだ直後、彼女は「ご下問にお答えします」と挟んで、言葉を継いだ。
「この一月(ひとつき)ほどで、新たに火之番として雇った者、火之番に昇級した者、共におりませぬ。ついでながら付け加えますと、入ってすぐに火之番となる者は、元々余程武芸に秀でているなどの特性がない限り、おりませぬ」
「なるほど……」
 和宮は、答えを聞いて目を伏せる。何らかの結論を出す前に、天璋院が口を開いた。
「……御台。今の問いと答えで、何を知りたかったのです?」
「実は、昨晩の誤報騒ぎの際、真っ先にわたくしの許を訪れた者が三名いたのです。その三名は、侵入した曲者にわたくしを引き渡すべく行動していたことが判明しております。わたくしは、その三名が、曲者の意を受けて奥に潜入した者か、元々奥勤めだった者が曲者に(たら)し込まれたのかを知りたかったのです」
 今の滝山の答えで、方法はまだ不明ながらも、それが後者だったことがはっきりした。
「それで、その三名は今?」
「内二名は、曲者の一人に斬られ、命を落としました。残る一名は座敷牢に監禁してあります」
 正確に言うと、『邦子と合流する』と言って和宮の私室に残った火之番は、生きているはずだった。邦子が合流した際に()り合ったらしく、邦子はその火之番を気絶させてから和宮の(もと)へ駆け付けたと言ったが、落ち着いてから和宮の私室へ引き返して確認すると、その火之番はすでに息絶えていたという。
 『恐らく、慶喜(よしのぶ)殿に口を封じられたのでしょう』とは、邦子の(げん)だ。
「左様か。分かった。ではすぐに、尋問しよう。わたくしも立ち会う」
「あ、義母君。その前に、もう一つ」
 呼び止められた天璋院は、浮かし掛けていた腰を、元通り落とした。
「何か?」
「あの……昨夜の件と、直接の関係はないのですが……」
「何です?」
「先程、滝山に聞きました。此度のように、女中が奥で不慮の死を遂げると、遺体は家族の許に返せぬのが掟だと。それは、まことですか?」
 天璋院は小さく(またた)きすると、チラと滝山へ目を向け、また和宮を見た。
「掟として特に決まっているとは、聞いたことがないが……それでも、時と場合によるであろう。例えば、上様の御子を宿した側室が、出産に伴って亡くなった場合はその限りではないと思う。本人の死を、両親がいれば両親に、いなければ周囲の親戚にでも(しら)せ、墓の場所も教える。ことによっては埋葬に立ち会ってもらう場合もある。病であれば、外部ではあるが治療を受けることはできるし、病没した場合はそこで葬儀を挙げることになるが……」
「……では……此度の事例は」
「残念だが、病没として処理するほかないであろう」
「そんな……何故(なにゆえ)です」
何故(なにゆえ)、とは?」
「此度は、事故ではありませぬか。自害したとか言うのならともかく、殉職です。だのに、死因も偽るなど……」
「仮に、遺体を家族へ返せば、遺体を(あらた)める者もあろう。斬られて死んだことが分かれば、世間はどういう邪推をするか分からぬもの。これは、(まつりごと)を行う幕府の権威に関わる問題でもある。(ひと)昔前ならまだしも、今は幕府にとっては微妙な時期ゆえ」
「納得できませぬ!」
 思わず叫んだ和宮に、天璋院が目を丸くしてこちらを見る。その目と目線が合い、和宮は反射で身を縮めた。
 固くした身体から、吐息と共に力を抜き、「申し訳ございません」と何に対する謝罪か分からないそれを口にする。
「……よい。申したいことを()うてみよ」
 これが、もう少し前であればまた、出会った時のように、『話が通じない』と評されたかも知れないが、そこはこの一月(ひとつき)の付き合いがものを言った。
「……だって、おかしいではありませぬか。此度、亡くなった者たちは、自身の意思とは関係なく死んだのです。それなのに、まるで罪人(つみびと)のように、存在していたことさえ隠蔽するように埋葬するなど……」
 その上、彼女たちの殺害は、やはり自分の存在が原因だ。
 和宮に、今や異常な執着を見せる熾仁(たるひと)が、侵入してくる為に手引きするよう(そそのか)され、挙げ句が口封じだ。巻き込まれた者は、自身の職務に忠実だったにも関わらず殺された。
 だというのに、家族への最期の別れも許されないなど、到底納得でき兼ねる。
「――宮様。恐れ入りますが、どうか時勢をお読みくださいませ」
 黙り込んだ天璋院の代わりに、その場にいた滝山が口を開いた。
「ただでさえ、斬られて死ぬなど不審死以外の何者でもありませぬ。バカ正直にそれを遺族に告げ、遺体を返すなど、幕府の権威を傾ける愚行でしかないと存じます。皇族生まれの(・・・・・・)姫君育ち(・・・・)には分からずとも無理はございませんが――」
「滝山!」
 鋭く遮ったのは天璋院だ。しかし、今度は滝山も(ひる)まない。
「天璋院様。畏れながら申し上げます。そもそもが、天璋院様が甘やかされるゆえ、宮様がこのようにいつまで経っても皇族の姫君気分が抜けぬのです。いい加減、将軍家・御台所としてのご自覚を持っていただかなくては」
「自覚って何?」
 思わず、和宮は()の口調で問うた。
「御台所として自覚を持つって何なの? あんたが言うように、殉職した仲間の死因を隠蔽すること? 家族に最期の別れも許さない非道なことをすること? それとも、邪魔な人間を殺しといて、共犯の医者を口封じすること?」
「宮様」
 滝山が、威圧するように和宮を呼ぶ。だが、和宮は臆することなく滝山を睨み据えた。
「お柊和(ひな)の方については、あたしも何も言わない。当の被害者である家茂が、何も言わないって決めたんだもの。それに家茂がどう言おうと、お柊和の方についてはあたしも共犯だと思ってるから、あたしにあんたの所業をどうこう言う権利なんてない。でも、今回の件まであんたに隠蔽工作なんてさせない。絶対に真実を白日の(もと)に晒してやるから」
「ですからわたくしは、此度の件については何も」
「此度の件についてそなたが潔白なら、態度で示しなさい!」
 遂に和宮は、叩き付けるように声を荒らげつつ、口調を改め直した。
「今更、わたくしの生まれの身分を軽んじられたとて、痛くも痒くもない。わたくしを御台所として認め兼ねるとあらば、それも仕方がない。今後も努力あるのみだ。だが、此度の件、そなたのわたくしへの個人的感情で調査を阻むのなら、決して許さぬ。先にも言ったと思うがな」
「別に阻むつもりはございませぬ。ただ、わたくしは幕府の権威と奥の規律を重んじているだけです」
「なれば、いちいち義母君に伺いを立てさせるような手間を掛けるな。それだけ要らぬ時間を食う。それは、調査の妨害にほかならぬと思うが……義母君はどう思われますか」
 天璋院に向き直ると、彼女は難しい顔をしていたが、やがて口を開いた。
「調査については、わたくしも賛成だ。曲者が外部から侵入(はい)り込んだのであれば尚のこと、早い解決が望まれる。ゆえに、調査の件は、御台の指示を優先するように」
 厳しい視線を向けられ、滝山は口を引き結んだ末に、「承知いたしました」と不承不承と取れる声音で答える。
 「だが」と挟んで、天璋院は和宮に目を向けた。
「残念だが、此度亡くなった者らを、家族の許へ帰すことは、やはり叶わぬ」
「義母君!?
「繰り返すようだが、確かに、奥で不審死した者を家族の許へ返せぬという、明確な規律はない。しかし、重い病に(かか)った者は一度外部の診療所へ移し、病没した場合はそこで葬儀を行う例からも明らかだが、本来、奥女中は奥で生涯を終えることは好ましいとは言えない。そなたが先にチラリと口にした、お柊和の方というご内証も、その診療所で息を引き取り、秘密裏に埋葬されたと聞いているが」
「ですが義母君。お柊和の方がもし、真実病で没したのであれば、密葬にする必要はありますまい?」
「重大な流行病(はやりやまい)だったと聞いている」
「では、何故(なにゆえ)奥にはその病が広がらなかったと?」
「迅速にお柊和の方を隔離し、診療所へ移したゆえだ。滝山の手柄であったな」
「恐縮でございます」
 小さく頭を下げた滝山の無表情が、シレッとした得意顔に見えて、殺意に近い感情が込み上げる。だが、反射で喚き散らしたい衝動を、短い深呼吸で何とか抑え、滝山に目を向けた。
「……なるほど。では、奥で過ごしていたはずの彼女がなぜ、そのような重大な流行病に(かか)ったと?」
「和宮様もご存じかと思いますが、かのお方は、一度暇を出され、外へ出ております。その時にいずこかでもらった病が、奥へ戻ったあとで発症したものと、奥医師の診断にて」
「その医師も、すでに亡いと聞いているが」
「かのお方を診察した折、その病に罹って亡くなったようです」
(まるでよくできた脚本ね)
 口に出したかったが、それも呑み込み、静かに言葉を継ぐ。
「よく分かった。では、此度の件が解決するまで、そなたには(いとま)を出す。早々に荷物をまとめて、奥から去るがよい」
「宮様!?
「御台、落ち着け。何故(なにゆえ)そうなる」
 滝山は、さっと顔色を変えて叫び、天璋院が険しい顔で(ただ)す。和宮は、無表情に天璋院を見た。
「義母君。どうやらこの者は、何でも自分の都合いいように物語を(えが)き、それを本当と思い込む癖でもあるようです。よって、真実を(つまび)らかにする場には邪魔なだけ。幸い、御年寄りの役職には全部で四人の女中が就くしきたりですから、滝山が抜けてもさして問題はありませんでしょう。情報収集や調査には、当方の上臈(じょうろう)御年寄りである桃の井がいれば充分にございます」
「しかし、本来上臈御年寄りという役職には、実権はない。嫁いでくる御台所の侍女が就くという、ただそれだけの、謂わば名誉職ゆえ」
「実権がなくとも、事実上は大奥女中の最上位。であれば、実権を付けて悪いことがありましょうか。実際、我が大叔母の姉小路局(あねのこうじのつぼね)様――現・勝光院(しょうこういん)様は、表の人事にまで口を挟む権限を持っていたとか……さすがに私欲でそこまでするのは、わたくしもどうかとは思います。しかし、真実を明らかにするに当たり、役職に相応しい権限を与えることは、間違っているとは思いませぬ」
 天璋院は、どう反駁すればいいか分からない、と言いたげに、眉根を寄せ、眉尻を下げた。
「天璋院様」
 滝山は、どうにかしてくれ、と言わんばかりの表情で、縋るように天璋院を呼ぶ。
 しかし、和宮は構わなかった。
「義母君。まだ奥に疎いわたくしが勝手を言い、我が儘に振る舞っているとお思いかも知れませぬが、わたくしは事実を明らかにしたいだけ。延いては、奥の安寧を守りたいだけにございます。奥の安寧と、真実を真実として筋を通すことが並び立たぬ、安寧の為に事実を捩じ曲げ隠蔽せよと、それが御台所として正しき姿と(おっしゃ)るのでしたら、その慣例こそが間違っているとわたくしは愚考します」
 天璋院は、尚も沈黙し、目を伏せている。
「天璋院様」
 滝山がもう一度呼ぶのにも反応せず、長いこと考え込んでいた天璋院は、やがて「分かった」と口を(ひら)いた。
「この件に関しては、わたくしは静観させてもらう」

©️神蔵 眞吹2024.
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登場人物紹介

【和宮親子内親王《かずのみや ちかこ ないしんのう》(登場時、7歳)】


生年月日/弘化3年閏5月10日(1846年7月3日)

性別/女

血液型/AB

身長/143センチ 体重/34キロ(将来的に身長/155センチ 体重/45キロ)


この物語の主人公。


丙午生まれの女児は夫を食い殺すと言う言い伝えの為、2歳の時に年替えの儀を行い、弘化2年12月21日(1846年1月19日)生まれとなる。

実年齢5歳の時、有栖川宮熾仁親王と婚約するが、幕閣と朝廷の思惑により、別れることになる。

納得できず、一度は熾仁と駆け落ちしようとするが……。

【徳川 家茂《とくがわ いえもち》(登場時、15歳)】

□幼名:菊千代《きくちよ》→慶福《よしとみ》


生年月日/弘化3年閏5月24日(1846年7月17日)

性別/男

血液型/A

身長/150センチ 体重/40キロ(将来的には、身長/160センチ、体重/48キロ)


この物語のもう一人の主人公で、和宮の夫。


3歳で紀州藩主の座に就き、5歳で元服。

7歳の頃、乳母・浪江《なみえ》が檀家として縁のある善光寺の住職・広海上人の次女・柊和《ひな》(12)と知り合い、親しくなっていく。

12歳の時に、井伊 直弼《いい なおすけ》の大老就任により、十四代将軍に決まり、就任。この年、倫宮《みちのみや》則子《のりこ》女王(8)との縁談が持ち上がっていたが、解消。


13歳の時には柊和(18)も奥入りするが、翌年には和宮との縁談が持ち上がり、幕閣と大奥の上層部に邪魔と断じられた柊和(19)を失う。

その元凶と、一度は和宮に恨みを抱くが……。

【有栖川宮熾仁親王《ありすがわのみや たるひと しんのう》(登場時、18歳)】


生年月日/天保6年2月19日(1835年3月17日)

性別/男


5歳の和宮と、16歳の時に婚約。

和宮の亡き父の猶子となっている為、戸籍上は兄妹でもあるという不思議な関係。

和宮のことは、異性ではなく可愛い妹程度にしか思っていなかったが、公武合体策により和宮と別れる羽目になる。

本人としては、この時初めて彼女への愛を自覚したと思っているが……。

【土御門 邦子《つちみかど くにこ》(登場時、11歳)】


生年月日/天保13(1842)年10月12日

性別/女


和宮の侍女兼護衛。

陰陽師の家系である土御門家に生まれ、戦巫女として教育を受けた。

女だてらに武芸十八般どんと来い。

【天璋院《てんしょういん》/敬子《すみこ》(登場時、25歳)】

□名前の変転:一《かつ》→市《いち》→篤《あつ》→敬子


生年月日/天保6年12月19日(1836年2月5日)

性別/女


先代将軍・家定《いえさだ》の正室で、先代御台所《みだいどころ》。

戸籍上の、家茂の母。


17歳で、従兄である薩摩藩主・島津 斉彬《しまづ なりあきら》(44)の養女となる。この時、本姓と諱《いみな》は源 篤子《みなもとのあつこ》となる。

20歳の時、時の右大臣・近衛 忠煕《このえ ただひろ》の養女となり、名を藤原 敬子《ふじわらの すみこ》と改める。この年の11月、第13代将軍・家定の正室になるが、二年後、夫(享年34)に先立たれ、落飾して、天璋院を名乗っている。

生まれ育った環境による価値観の違いから、初対面時には和宮と対立するが……。

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