第10話 海風
文字数 396文字
この島には初めて来た。会社は無断欠勤。でもきっと僕のことは探していない。とにかく気持ちの良いところに行って、最期を綺麗に終わらせたかった。どこまでも青く続く海と空は期待した通りだった。
電話が鳴った。母とは暫く会話していない。よりにもよってなぜこんな時に……
「ああ、良かった。ちょっと教えて」
「なに?」
「パソコンが立ち上がらないのよ」
「……電源入ってないんじゃないの?」
「電源押しても全然反応しないのよ」
「……じゃあ、電源ボタンをずっと押し続けてみて」
パソコンがリブートされたようだ。
「あら、さすがだわね。助かったわ。有難う……今、どこ?なんだか風の音がするわね」
「ああ……海に来てる」
「そうなの?良いわね」
「……」
「昔、お父さんと島に行ったとき、あなたがお腹に居るのが分かってね。良い天気だったけど、つわりで全然楽しめなかったわ」
海からの風が少し冷たかった。
リブートかなぁ……
電話が鳴った。母とは暫く会話していない。よりにもよってなぜこんな時に……
「ああ、良かった。ちょっと教えて」
「なに?」
「パソコンが立ち上がらないのよ」
「……電源入ってないんじゃないの?」
「電源押しても全然反応しないのよ」
「……じゃあ、電源ボタンをずっと押し続けてみて」
パソコンがリブートされたようだ。
「あら、さすがだわね。助かったわ。有難う……今、どこ?なんだか風の音がするわね」
「ああ……海に来てる」
「そうなの?良いわね」
「……」
「昔、お父さんと島に行ったとき、あなたがお腹に居るのが分かってね。良い天気だったけど、つわりで全然楽しめなかったわ」
海からの風が少し冷たかった。