0120

文字数 3,025文字

07:30 食事 カレーライス一杯
09:00 出発
10:00 アルバイト勤務開始
15:00 アルバイト勤務終了
16:00 講義開始
21:00 講義終了
22:30 帰宅
23:00 日記執筆開始


 眠い……眠すぎる。17日の23:30~03:30までフードデリバリーのバイトをし、04:30に帰宅したのだが、そこから寝ないで現在に至る。理由は至ってシンプル。朝方の生活に変えたいからだ。

 しかし、それを阻む問題が発生した。明日の20:00から翌朝06:00まで、食品工場の単発夜勤を入れていたのを忘れていた。今日メールを確認したら採用されていたので、また寝る時間を調整するハメになった。もっとも、何時に床に就くかは全くもって見えていないのだ。なので、整理がてら日記を書いて、頭を冷静にしてみよう。

 今日はタイミーで見つけたフードデリバリーの単発バイトをした。17日の深夜バイトを終えてから見つけ、これ幸いと応募したのだ。場所は六本木で、行くのもめんどくさいし、バイクを走らせるのもめんどくさい場所だ。しかし、10:00~15:00で6100円。時給で言えば1400円になるため、16:00から学校での講義を控える立場としては悪くない金額である。だが、それが後悔の種となったのは、当時の僕は知らなかったのである。

 昨夜の僕は、謎の無敵感に踊らされていた。学校とバイトを両立して、長時間行動した達成感がそうさせたのだと思う。そのせいでテンションがバカ上がりし、まったくもって眠れなくなったのだ。それでもと思い目を閉じても寝付けず、そのまま07:00を迎えて朝日を拝んだ。ため息と共にカレーライスをかっこみ、六本木へと向かった。

 六本木で降りたのは3年ぶりだった。前職の入社前に健康診断で訪れた以来だが、相も変わらず好かない場所だった。「THE URBAN CITY」って感じで、どこの海外にもあるメトロシティの街並み。よく言えばユニバーサルデザインな街、悪く言えば二束三文でな国際街って感じだ。それでもだ、現在の日本経済を動かす資本家たちが多く住んでいる場所であり、欲望渦巻くエネルギッシュな街でもある。どんな人が注文して、どんな風景が見れるのかを楽しみにしていた。

 勤務開始の10時、僕は防寒具を着込んで食品トレーを拭いていた。職場は世界中どこにでもあるチェーン店で、客入りは絶えず、店内の席は8割近く埋まっていた。レギュラーのスタッフたちも懸命に動き回り、次々と注文をこなしていたのだが、僕はトレーを拭いていた。寝不足でこれは辛いな、体を動かす仕事を探そうと考え、ひたすらトレーを拭いていたのだ。

 11:00前になり、六本木で初のデリバリーが入り、僕は意気揚々と3輪キャノピーを駆った。届け先近くにつくや、い電気工事で通行止めにあった。六本木通りから一本入った住宅街h一方通行ばかりで、堂々巡りをすることになった。埒が明かないので警備員に聞いたら、通っていいと言われた。僕は一件目から無駄な時間と手間をかけてしまったのだ。何とか届け先にたどり着き、チャイムを鳴らすと中学生くらいの小太りな男子が現れた。中学校の授業もリモートが導入されているんだろうか? 調べてみたら2年前には導入されていたようだ。現在は選択制を導入している区も混在しているみたいだが、港区もきっとそうなのだろう。

 その後は立て続けに注文が入り、14:00までひたすら走り回っていた。3車線が多くて2段階右折ばかりさせられて、めんどくささを感じていたが、届け先で2つほど印象的なものを見かけた。

 ひとつはアパホテル。5棟くらいあったのだが、全館を帰国者の一時隔離施設として運営をしていた。よく求人を見かけていたが、なるほど、これは大変な仕事だと思った。その理由が、配達業者の受付が一か所のみで、配達に行くいちいち隔離者や関係各所に連絡を取ってからじゃないと配達物を渡せないのだ。その間は屋外で待たされる。

 僕たち業者も寒風にさらされて辛いが、連絡が付くまで無線を飛ばしている警備員も辛そうだ。これでは歩合でやっている配達業者からキレられてもおかしくない。また、スタッフの名札も辛い扱いだなって思った。黒マジックでガムテープに苗字をカナ表記で書き、それを長めにちぎって胸元に貼っていた。それは、近所の雑貨屋が閉店するときに、叩き売りをしていたのを思い出させた。なんかスタッフが人間扱いされてないように見え、そんな運営で隔離者は大丈夫なんだろうかと勘繰ってしまった。とりあえず10分ほど待たされて、やっと受け取りの係員がやってきた。3袋くらいの商品を渡したら、悪びれもせず手提げ袋を要求された。渡しても良かったのだが、少し腹が立っていたのでないと言って店に戻った。

 二つめは中国大使館前を通ったときだ。異常なほどの警察官が立っており、それぞれが錫杖のような長物を片手にしていて、物々しい雰囲気だった。まるで福岡の大牟田にある工藤会の事務所前のような様子。最初は事件課と思ったが、中国国旗が見えて理由が分かった。そりゃ現状を考えたら、いつ何が起きてもおかしくはない。起こさないのが大事なんだな、と納得した。そこで見かけたのが3人の女性。天滅中共と書かれたプラカードを体にもたれかけ、全員が無言で法輪功のポーズを取っていた。多分何も言わないし、過激な行動もしないから警察も何もできないんだろう。すげぇ煽ってんなぁと思いつつ、その場を立ち去った。

 そんなこんなで14:00になったらピークが落ち着き、15:00までトレーを拭いてた。途中で注文待ちのお客さんのとこに商品を運ぶミッションが追加されたが、3回くらいで時間になったので「ありがとうございました~」と、仕事を切り上げた。

今日感じたことは、六本木って街は正直すぎる街なのかもしれない。煌びやかさも暗部も、すべてを隠さないでさらけ出している街なのかもしれない。少なくとも奥ゆかしさはない。この街に惹かれている人たちは、「欲望を隠さなくても良いんだぞ」と言われているような、ある種の心地よく感じているのではないだろうか。そう考えたら、今度カメラでも持って散策してみたいと思った。



 その後は学校へ。正直眠気はMAXだったが、唯一の誠意として居眠りをしないを5時間貫いた。その事実と、結構な文量が書けたことで。今もなお、謎の達成感と充実感に包まれている。僕はいったい何をしているんだろう。なんでこんなに目を充血させながら日記を書いているんだろう。なんで朝方生活に戻そうとしているのに、深夜のバイトを入れたんだろう。日払いが欲しかったからだろうけど、冷静に考えたら拘束11時間、実働8時間で14,000円なら時給1800円くらい。悪くはないが、翌日の講義に響いたら元も子もない。こんなの月2回もやるもんじゃない、そう後悔をしている。

 どんなに後悔しても明日の夜勤はゆるがない。今日と似たように、明朝帰ってきて、その日の夕方から学校というスケジュールを送るハメになった。だから明日の夜も日記の更新はなしだ。いつになったら朝方に変われるんだろうか……先日の僕に「バカめ!」と言ってやりたい。沖田艦長くらいの声量で言ってやりたい。40歳の年に、こんな大学生みたいな生活を送るとは思わなかった。計画性って大事だな。


 とりあえず、今日はここまで。おやすみ、世界。 
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