プロローグ

文字数 608文字

 無機質なドアに背を向け、腹から血を流して立つ男が居た。彼が流す血は赤黒く、その髪は血を被ってもいないのに赤かった。
 赤い髪の男性は、左手に白いトレイを持ち、自らの前に立つ男を見つめている。彼に見つめられた男は血の付着したナイフを右手に持ち、不気味な笑顔を浮かべていた。
 
 ナイフを持つ男の背後には、体格の良い二人の青年が居る。二人の青年は、無表情で成り行きを見守っており、汚れの見当たらないスーツはどこか不自然にも見えた。
「痛いでしょ? 実はね、そう言う薬を塗ってあるんだ。その薬、出血も多くなるんだって」
 ナイフを持つ男が言うと、腹を刺された男は顔をしかめる。しかし、その状況に対して何かしらの不満を漏らすことはしなかった。
 
「でも、君が悪いんだよ? 繁殖用の雌なんかに感情移入しちゃう、アランが」
 そう伝えると、男性はナイフに付着した血を指先で拭って口に含む。そして、頬を赤らめて目を細めると、低い声をアランに浴びせ始める。
「あの契約を交わした以上、君は血の一滴さえも僕のものなのに」
 それを聞いたアランは小さく笑い、持っていたトレイを床に落とした。この際、トレイからは空の食器が床に散らばり、それは軽い音を立てて一部が欠けた。
 
「俺をやりたいならやりゃあ良いさ」
 アランは、そう呟くと目を瞑り、両手を顔の位置まで上げる。一方、その前に立つ男は口元を緩め、楽しそうに話し出した。
「駄目だよ? それじゃ……もの」
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登場人物紹介

アラン


ガチムチ脳筋系の兄貴キャラ。
それでいて上の指示には従順な体育会系な為に社畜と化す。

純真な心が残っている為、それで苦しむが、何が大切かを決めて他を切り捨てる覚悟はある。

ニコライ的には、瞳孔が翠で良い体格の(おっちゃんなもっとデカなるでな)理想的な茶トラ人間バージョン。
なので気にいられてる。

ニコライ・フォヴィッチ


裏社会で商売している組織のボス。
ロシアンブルーを愛する。

猫好きをこじらせている。
とにかく猫が好き。
話しながら密かにモフる位に猫が好き。
昔はサイベリアンをモフっては抜け毛で毛玉を育てていた系猫好き。
重症な猫好き。
手遅れな猫好き。
猫には優しい。
猫には甘い。
そんな、ボス。

アール


ニコライの側近。
眼鏡でエルとは瓜二つ。
服も支給品の同じスーツなので、見分けは右にある黒子。

ニコライ的にはタキシード模様の猫その1。
黒い毛並みを維持する為の投資は厭わない。

エル


ニコライの側近。
眼鏡でエルとは瓜二つ。
服も支給品の同じスーツなので、見分けは左にある黒子。

ニコライ的にはタキシード模様の猫その2。
黒い毛並みを維持する為の投資は厭わない。

青猫
ニコライの愛猫。
専用の部屋を持つ部下より好待遇なお猫様。
ロシアンブルーだからあまり鳴かない。
そこが気に入られる理由。
専属獣医も居る謎待遇のお猫様。

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