別れ
文字数 350文字
トミちゃんが退院したのは、それから二週間後のことだった。マンションの住人の井戸端会議でそれを知った。
あの手紙を受け取るまで、本人から直接、私に連絡が来たことはなかった。
お孫さんのことは、マンションの最上階が空き家になり、静かに時が流れ始めた頃、これまた人の噂で耳にした。
いま思えば、トミちゃんは、ちょっとでも気を許すと崩れ落ちそうな心と体を日々の刺激で必死に繕うことでごまかそうとしていたのかもしれない。なのに、そんな状態の中でも私を励まそうと手を尽くしてくれた。
トミちゃんとの思い出が、ひとつ、またひとつと甦ってくる。
純粋に幸福だったティータイムだけではなく、秋葉原でのほろ苦い記憶も必ずセットではあったが、私にとってトミちゃんとの短くも濃密な時間は、何にも代えがたい宝物だ。
あの手紙を受け取るまで、本人から直接、私に連絡が来たことはなかった。
お孫さんのことは、マンションの最上階が空き家になり、静かに時が流れ始めた頃、これまた人の噂で耳にした。
いま思えば、トミちゃんは、ちょっとでも気を許すと崩れ落ちそうな心と体を日々の刺激で必死に繕うことでごまかそうとしていたのかもしれない。なのに、そんな状態の中でも私を励まそうと手を尽くしてくれた。
トミちゃんとの思い出が、ひとつ、またひとつと甦ってくる。
純粋に幸福だったティータイムだけではなく、秋葉原でのほろ苦い記憶も必ずセットではあったが、私にとってトミちゃんとの短くも濃密な時間は、何にも代えがたい宝物だ。