第8話

文字数 1,585文字


ウルフ オア ウルフ
おまけ 昔話

おまけ①【昔話】





















 





むかしむかし、狼がいました。

狼はみんなから怖がられていて、いつも1人でした。

そんなとき、子山羊たちは一緒に遊ぼうと誘いにきてくれました。

狼は嬉しくなりました。

それからというもの、狼は嬉しくて嬉しくて、楽しく過ごしていました。

しかし、自分の可愛い子山羊たちが、狼と一緒に遊んでいることを知り、大変困ってしまいました。

いつか自分の大切な子供たちが、狼に喰われてしまうのではないかと。

 そこで、お母さん山羊は、子山羊たちに狼をもう遊ばないように言いました。

 子山羊たちは、どうして?どうして?と聞きました。

 お母さん山羊は、こう答えました。

 「狼はね、子山羊が大好物なんだよ。美味しいお肉の塊だと思っているんだよ。いつかあの狼だって、お前たちを喰おうと口を大きく開くだろう。そうなったら嫌だろう?」

 子山羊たちはビクビク震えながら、頷きました。

 だからそれから、狼と遊ばなくなりました。

 狼には、どうして子山羊たちが一緒に遊んでくれないのかが分かりません。

 毎日毎日、子山羊たちの家の近くまで行きますが、どうにもなりません。

 狼は、寂しくて仕方ありませんでした。

 遠吠えをしたり、一日中駆けまわったり。

 そんなある日、狼がまだ近くにいることを知り、お母さん山羊は子山羊たちに言いました。

 「いいかい、これからお母さんは出かけるけど、狼が来てもすぐに開けちゃダメだよ」

 狼が来たら、こことこことここに隠れなさいと、お母さん山羊は言いました。

 お母さん山羊が出かけた後、子山羊たちのもとに狼がやってきました。

 「どうして遊んでくれないの?」

 「また一緒に遊ぼうよ」

 「嫌だ!狼は僕たちを食べようとしてるんだ!そんな汚い声で、僕たちを騙そうとしてるんだ!!」

 狼は、汚いと言われた声を綺麗にするため、チョークを貰いました。

 「これならどうだい?一緒に遊んでくれるかい?」

 「嫌だ!そんな汚い手で僕たちを捕まえようとしてるんだ!!」

 狼は、汚いと言われた手を綺麗にしようと、お母さん山羊と同じように真っ白な手にするために、小麦粉をつけた。

 「これならどうだい?ほら、君たちと同じ白い手になったよ」

 すると、子山羊たちはドアを開けてくれました。

 しかし、狼の目の前に現れた子山羊たちの身体からは、美味しそうな生肉に臭いがします。

 身体に生肉を巻きつけた子山羊たちを見て、狼はなんとか自分を抑えようとしましたが、出来ませんでした。

 子山羊を丸のみしてしばらく、狼は眠ってしまいました。



 家に帰ってきたお母さん山羊は、1匹だけそこにいる子山羊に声をかけました。

 「狼は?」

 「お腹一杯になって出て行ったよ」

 「そりゃそうだね。6匹も腹に入れれば、お腹一杯になるだろうね。さあ、行くよ」

 川の傍で寝ていた狼の腹を裂き、子山羊たちを全員救出すると、お母さん山羊は狼が沈むほどの石を用意して、腹に詰めました。

 目を覚ました狼は、喉が渇いてしまし、川に顔を近づけました。

 すると、ゴロゴロと、お腹の中では鳴らないはずの音が鳴り、狼はそのまま川に入ってしまいました。

 重さに耐えきれず溺れてしまった狼は、もう浮きあがってくることはありませんでした。

 狼がいなくなり、みな喜びました。

 それからしばらくして、子山羊たちは木の実を採ろうとしていました。

 「届かないよ!」

 「頑張ってよ!」

 「んーー!!」

 「あーあ。この前までは、狼が採ってくれてたんだもんね」

 「そうだね。木の実が食べられなくなったね」

 「狼を友達にしよう!」

 「そうだね!そうしよう!」

 子山羊はある程度大きくなっても、狼を遊びに誘っていました。

 それはまるで、狼を一匹ずつ川に沈めるかのように。

 それはまるで、自分たちを餌に、狼を呼びよせるかのように。



 「狼さん!一緒に遊ぼうよ!」



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