第4章 見知らぬ世界 – 地下室
文字数 833文字
地下室
「おまえは何だ! いったいどうして! おまえはそんなところにいるんだ!?」
あまりに突然の声だった。
「そこでいったい何をしている!」
激しく突き上げる動きが止まると同時に、矢島の怒号、続いてもの凄い衝撃が後頭部を襲った。
気付けば身体は宙に浮き、腰から背中を大理石の床に叩き付けられる。
そしてその時、後頭部を思いっきり打ち付けてしまった。焦げ付くような匂いを鼻先に感じて、フッと意識を失いかける。目の前が真っ暗になり、深い闇の中へ落ちていくのをはっきりと感じた。その時、漆黒の闇の中から、
「おまえは悪魔か!? 俺に取り憑いているのはおまえなのか!?」
微かにそんな声が聞こえてくる。
――ころ、される……。
ふとそう思った瞬間、一気に明るい光が舞い戻った。眩しい! と感じるのも束の間、すぐに後頭部から臀部にかけて、電流が流れたような激痛が走る。思わず右手を腰に、左手は当てもなく宙を彷徨う。すると左手が堅いものに触れて、香織は瞬時にそれがなんであるかを悟るのだった。
香織は矢島に突き飛ばされ、車椅子のすぐ傍まで吹っ飛んでいた。もしあと数十センチずれていれば、香織は身体ごと大型車椅子に突っ込んでいただろう。ただとにかくすれすれのところでそうはならず、左手は車椅子にぶら下がる何かをしっかりと掴んだ。
ぼうっとする意識の中で、
――おまえは悪魔か!?
矢島の声だけが香織のすべてを支配する。
殺される!? そして死への恐怖が、すぐに強烈なる怒りへと変わった。
――殺されてたまるか!!
身体中でそう叫び、香織は掴んだものを思いっきり引き抜く。すると繋がれていたベルトシースが外れて、剥き出しのサバイバルナイフが目の前に現れ出た。
その瞬間、香織の全身に電気が走った。
バシッという音が聞こえて、全身の痛みがスッと消え去る。
「殺されて、たまるか……」
香織は独り言のようにそう呟いて、目の前にいる巨体目掛けて走っていった。
「おまえは何だ! いったいどうして! おまえはそんなところにいるんだ!?」
あまりに突然の声だった。
「そこでいったい何をしている!」
激しく突き上げる動きが止まると同時に、矢島の怒号、続いてもの凄い衝撃が後頭部を襲った。
気付けば身体は宙に浮き、腰から背中を大理石の床に叩き付けられる。
そしてその時、後頭部を思いっきり打ち付けてしまった。焦げ付くような匂いを鼻先に感じて、フッと意識を失いかける。目の前が真っ暗になり、深い闇の中へ落ちていくのをはっきりと感じた。その時、漆黒の闇の中から、
「おまえは悪魔か!? 俺に取り憑いているのはおまえなのか!?」
微かにそんな声が聞こえてくる。
――ころ、される……。
ふとそう思った瞬間、一気に明るい光が舞い戻った。眩しい! と感じるのも束の間、すぐに後頭部から臀部にかけて、電流が流れたような激痛が走る。思わず右手を腰に、左手は当てもなく宙を彷徨う。すると左手が堅いものに触れて、香織は瞬時にそれがなんであるかを悟るのだった。
香織は矢島に突き飛ばされ、車椅子のすぐ傍まで吹っ飛んでいた。もしあと数十センチずれていれば、香織は身体ごと大型車椅子に突っ込んでいただろう。ただとにかくすれすれのところでそうはならず、左手は車椅子にぶら下がる何かをしっかりと掴んだ。
ぼうっとする意識の中で、
――おまえは悪魔か!?
矢島の声だけが香織のすべてを支配する。
殺される!? そして死への恐怖が、すぐに強烈なる怒りへと変わった。
――殺されてたまるか!!
身体中でそう叫び、香織は掴んだものを思いっきり引き抜く。すると繋がれていたベルトシースが外れて、剥き出しのサバイバルナイフが目の前に現れ出た。
その瞬間、香織の全身に電気が走った。
バシッという音が聞こえて、全身の痛みがスッと消え去る。
「殺されて、たまるか……」
香織は独り言のようにそう呟いて、目の前にいる巨体目掛けて走っていった。