第4話(3)

エピソード文字数 1,636文字

「色紙クン。ついて、来てくれませんか?」

 イノシシみたいなヤツらの襲撃と、四時間目の授業が終わってすぐ――昼休みとなってすぐ。雲海と昼ご飯を食べようとしていたら、麗平さんがやって来た。

「お、ラミラミじゃん。ユウに告白でもすんのか?」
「ちっ、違いますわっ。色紙クン、ちょっとちょっと」

 彼女は俺の服を引っ張り、俺達は人気がない教室の隅に移動。ヒソヒソ話の開け幕となったYO(ベロリンガルの真似をしてみました)。

(ウチは気さくに話せる系なんだけど、ミラルの記憶があるからやけに緊張してしまいますの。それでもしシンと上手く話せなくなったら、その時はフォローして欲しいんですのよ)
(ああ、そういうことね。厚芽流シューシューにも備えないといけないから、同行致しますよ)

 邪魔しないよう屋上からサク達が見守る予定だったけど、距離が空いたら何が起きるかわからないという不安もあった。これは丁度良い。

(色紙クン、助かりますわ。さっきから鼓動が速くなって、テンパりそうで困ってましたの)
(十世紀近くも会ってないんだ。そうなるのは、無理からぬことだよ――???)
(どうしましたの? 首に違和感でもありますの?)
(いんや、首がヘンで小首を傾げたんじゃないんだ。なんか引っかかったんだよ)

 その正体は、わからない。けど確かに、一瞬だけ妙な感じがしたんだよな……。

(引っかかる。悪いコトがある、なんでしょうか?)
(………………色々振り返っても不穏な点はないから、きっと勘違いだよ。ご飯を持ってゴーしましょう)
(ですわね。少しでも多く喋りたいですから)

 てなわけで俺達は昼食を提げ、

「ユウがラミラミルートに入った!? お前は不思議ちゃんが萌えツボだったんだな!」
「違うっての。ちょいと相談されたの」

 興味津々の悪友にヒラヒラ手を振り、二人で校内を闊歩。履物を履き替え快晴のお空の下を歩み、目的地に辿り着いた。

「まさか、時々見掛けていた後輩さんが戦友だったとはね。驚きましたよ」

 待ち合わせ場所にいたのは、優等生然とした美男子。ピシッと制服を着て細いフレームの眼鏡をかけた、穏やかで真面目な印象を受ける先輩だ。

「ミラル――今は、麗平活美さんと御呼びするべきかな。会えて嬉しいです」
「ウチも、嬉しいですわ。ずっと会いたかった……!」

 麗平さんは大粒の涙を流し、シンさんこと花丘先輩に抱き付く。
 千年ぶりの、しかも散々待ったあとの再会だ。こっちも目頭が熱くなってくるよ。

「僕は聖剣を持っていないから、実はずっと転生できずにいたんです。きっと、貴女に苦労をかけたんですよね」
「今迄の人生は大変だったけど、今回は色紙クン――優しい人たちのおかげで、どうにかなりましたわ。このように、タイムリミットまでにラーとミーが見つかりましたのっ」

 近くに人目がないので、彼女は金剣と銀剣を出した。
 花丘先輩、御心配なくですよ。道具はきちんと揃ってます。

「ふふ、それはよかった。ガレの呪いがあったから、メモを読んだ時からずっと気になっていたんですよ」
「ぁっ、そうだったんですの。あそこにちゃんと書いておくべきでしたわね」
「『一回会うと、長話をしたくなる』と思い、この時間にした僕に非があります。貴女は悪くないですよ」

 先輩は顔の前で左手を左右に振り、爽やかに少しだけ口端を上げる。
 うーん、美少年がやると画になるわぁ。俺がやったら、『ぷぷっ。カッコつけてる』って失笑されるぞ。

「聖剣ラーとミーがあるのであれば、問題なく封印の儀が済みますね。でしたら暫くは、思い出話に花を咲かせましょうか」
「そうですわね。弁当を摘みながら、当時を振り返って――」
「そこの男子さんと女子さん。少しよろしいでしょうか」

 先輩と麗平さんが笑い合っていると、なんとまぁ。マスクをして作務衣をつけた中年男性が、どこからともなく現れた。
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登場人物紹介

色紙優星 16歳の少年


高知県生まれの主人公。

リリウという神様の聞き間違えで魔王使いになってしまい、おまけに『究極奥義』と呼ばれる力を何個も持ってしまった高校生。優しく他人想いなのだが、彼はとあるセンスが全くないのであった……。

黒真レミア 16歳の少女


魔王、でありながら伝説の勇者の能力を持つ。冷徹でクールな容姿と声音を持つ美少女だが、性格はほわほわでお子ちゃま。『にゅむ』という独特な言葉を多用し、時にはにゅむのみで会話を行おうとする。例「にゅむーむ。にゅむ。にゅむりん」。

なお愛用の武器である聖剣は魔王の天敵であるため、使うと痺れる。

金堂フュル 16歳の少女


伝説の勇者、でありながら伝説の魔法使いの能力を持つ。元気一杯の猫っぽい女の子で、高知県の英雄・坂本竜馬の大ファン。そのせいで『ぜよ』と中途半端に覚えた土佐弁を使い、主人公のことは『師匠』、仲間のことは名前のあとに『先生』とつけて呼ぶ(例えばレミアの場合はレミア先生)。

なかなかにおバカな女の子。

虹橋シズナ 17歳の少女


伝説の魔法使い、でありながら魔王の能力を持つ。大和撫子然とした容姿を持つ美少女であり、主人公の義理の従妹。

重度の怒られ好き。

とにかく変で厄介で面倒くさい人。

茶操ユニ 18歳の少女


伝説のドールマスター、でありながら伝説のプリーストの能力を持つ。キグルミ族という一族の人間で、閉園したテーマパークのキャラクター・二足歩行ウサギの着ぐるみを着ている。口癖は、ミョン。

実はお笑いにうるさく、親戚は某有名人。

プリースト神 年齢不明


茶操ユニが持つプリーストの杖に宿る、プリーストの神様。

実は……。

橙式エイリ 14歳の少女


伝説のモンスターテイマー、でありながら伝説の召喚士の能力を持つ。所謂スケバン然とした容姿と声を持つが、グループ最年少の中学生でみんなの妹的存在。でもレミアやフュルよりずっとまともで、ヤツらの方が妹的存在な気がする。

野菜が大好きで、とても詳しい。

タンザ・クー 年齢不明


橙式エイリの召喚獣で、俳句世界(はいくわーるど)の王女。

タンザが姓で、クーが名。

二万年後に、地球の傍に誕生する世界からやって来た。


色紙育月 16歳の少女


高知県大豊町在住の、優星の従妹。中学卒業と同時に本格的にピーマンの生産を始め、今ではテレビの取材を受けるほどになっている。


薄幸の美少女然とした容姿と、従兄想いの優しい性格が自慢の従妹です! by色紙優星

謎の声 年齢不明


優星にだけ聞こえる、不思議な声。

なぜか正体を明かそうとしない。

リリウ 神様


願いを聞き間違えて、優星を魔王使いにしてしまった神様。

神様の世界で流行しているゲームに夢中で、神様のお仕事はほとんどしない。

とってもダメな、神様(?)な神様。

麗平活美 16歳の少女


ストロベリーブロンドのドリルヘアーが特徴の、優星のクラスメイト。

お嬢様然とした容姿で気品があるように見えるが、非常に活発。実は……。

空霧雲海 16歳の少年


頼れる兄貴系の容姿と性格を持つ優星の同級生であり、悪友であり、重度のオタク。

作中に登場する名曲(迷曲)を作った人。

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