第13話 夏の訪問者

文字数 844文字

 しばらく暑い日が続きましたが、どうやらまた梅雨らしい天気に戻るようですね。今日はギリギリ洗濯OKかなぁ。午前8時半。

 夏が近づくと、呼んでもいない訪問者がやってくる。こんな言い方、人間にはしない。昆虫や爬虫類の(たぐい)。若いころほど鉢合わせても驚かなくなったが、モノによっては歳不相応の叫び声を上げたりする。今季も数日前の早朝、10㎝くらいのムカデが玄関内に出没、トーンを抑えた声を漏らしながら退治した。「これっきりにして下さい」 と願うばかり。

 夜になると、廊下側の窓に2匹のヤモリ。張り付いているので、こちらから見えるのは腹側。よくよく見ると、なんだか見覚えがあるような……実は去年、なんとなく観察していて、同じヤモリが来ていることに気がついた。愛着が湧いて、お腹辺りが少し太い方を『ふとし』シッポのつけ根辺りがピンクに見える方を『ピンクパンツ』と命名。どうやら、その2匹っぽいのだ。

 ヤモリは高い気温と暗さが重なると出てくる。「今日は少し肌寒い」 と感じた日は出てこない。最近はヤモリの出没によって暑いか、そうでないかを教えてもらっている。全く役に立たないが。それにしても、寒い間は何処にいるんだ?気にも留めていなかったが、ブログのためにググってみた。5〜10年も生きる。巣は家の隙間。5〜9月辺りに産卵。「へ〜」じゃあ前述の2匹は夫婦か?背中側に性別の特徴があるようで、窓越しからではわからない。

 去年の光景を思い出した。餌となる大きめの蛾が羽を休めていた。近くにはソーシャルディスタンスをとった2匹のヤモリ。もちろん『ふとし』と『ピンクパンツ』 蛾に気付かれないように距離を縮める2匹。1匹が食らえつく。バタバタと逃げようとする蛾。大きな獲物なので、お互い必死だ。そこへ、もう1匹もガブリ。そこからの奪い合いは、筆舌に尽くしがたい。

 いろいろな過去があって今がある。嫌なことを知っていなければ、今が幸せかどうかわからない。酸いも甘いも噛み分けて生きていく。私には、なんでもないこと。
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