(四)-2

文字数 273文字

 私も改札を抜けた。そして階段を上って行く途中でムサシ君に追いついた。
「小杉君」
 そう言いかけたけど、上り階段で先を歩いて行くムサシ君はいつも以上に背が高く、声をかけづらかった。二人の男子とも談笑していたし。なおさらだった。
 心臓がどきどきした。お礼を言うだけなんだから、ドキドキなんてする必要ないのに。
 でも、これが最後のチャンスだ。階段を下っていき、ムサシ君がホームに降り立ったとき、私はムサシ君に声をかけた。この時点なら、私もまだ階段にいて、背の低い私と背の高い彼との身長差はあまりない。その分、話しかけやすい。まさしく今しかない!

(続く)
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み