第2話

文字数 2,413文字

ー社長室ー

「黒さん、何かお忘れものですか?」

大介の問いに黒は無言で大介をソファーに寝かせ覆い被さりながら口を開いた。

「大介さんを見ていると発情が止まりません」

「何を言って…」

言いかけたその時、黒に唇を奪われスーツを引き裂かれた。

「黒さん、やめてください」

愛撫をしようとする黒を必死に大介が抵抗していると強くドアが開かれ水晶が現れた。

「反省してないみたいだな」

「……」

水晶の声に反応し黒がよそ見をすると大介は黒を退かせ離れた。

「水晶さん!」

驚いた顔で大介が見つめると水晶が大介に向かって口を開いた。

「あとは俺に任せて大介さんは家に帰ってください」

「……」

水晶に従い大介が社長室から出ていくと水晶はドアを閉めた。

水晶と2人きりになった黒はソファーから離れ水晶に向かって口を開いた。

「あんた誰だ」

「お前がやったこと剛には黙っててやるからこの店に近づくな」

「偉そうに」

「わかったら出ていけ」

「わかったよ」

黒が社長室を出ていくと水晶も社長室を出ていき森林に向かった。

ー森林ー

背後に気配を感じ背を向けたまま剛が「誰だ」と声をかけると水晶が口を開いた。

「水晶玉です」

「……」

無言で振り返ると剛は人間姿の水晶に目を向け口を開いた。

「水晶玉が人間になったと」

「今から証拠を見せます」

そう言って水晶が人間から水晶玉に変身すると剛は驚きで言葉を失った。

「……」

「信じてもらえましたか?」

「信じるよ」

「……」

水晶玉から人間の姿に戻ると口を開いた。

「なぜ、剛の身体から出ていったか理由を言います」

「……」

「剛の代わりに大介さんの様子を見に行ったんです」

「なぜ」

「剛が大介さんのこと気にしてたから」

「気にしてなんか…」

「俺は水晶玉だぞ、お前のことは何でもわかる」

「人間姿のときの名前はあるのか?」

「水晶です」

「水晶か」

「剛」

「何だ?」

「何でもない」

そう言って水晶が歩いていくと剛が声をかけた。

「どこかに行くのか」

「悩み人が居ないか見回りに行ってくる」

背を向けたまま答えると水晶は歩いていった。

水晶のことが気になり魔法の杖で水晶の行動を見ようとしたその時、黒の姿を見つけた。

「黒!」

魔法の杖で剛は黒の行動を見つめた。

そして黒は家の前で立ち止まりインターホンを鳴らした。

ドアが開き現れた大介の姿に魔法の杖で見ていた剛は驚いた。

「大介さん!」

学みたいに大介がなってしまうと思った剛は魔法の杖でその場から消え大介の元に向かった。

ー大介の家、玄関先ー

「黒さん、どうして」

驚いた顔で大介が見つめると黒が口を開いた。

「あなたが学さんに似ていて俺の発情は止まらない、1度だけでいい俺に抱かれてください」

「承知するわけないでしょ」

「お願いだ、大介さん」

黒が大介の手首を掴むと剛が現れ声をかけた。

「黒、手を離せ」

「その声は」

大介の手首を掴んでいる手を離し振り返ると黒は剛に目を向けた。

「剛さん」

「黒、ここから去れ」

「嫌だと言ったら」

「お前の命を奪う」

そう言って剛が魔法の杖を構えると「戦いはダメです」と言って大介は裸足で家を出ていき剛の前に立った。

「戦いはダメです」

「退いてください」

「嫌です」

「黒は学を死に追いやった、大介さんが学みたいになるんじゃないかと思うと怖いんだ」

「……」

「黒の命を奪えば俺の不安はなくなる」

「あなたが彼の命を奪ったら剛さんは警察に捕まります」

「願いで警察から逃れます」

「黒さん、俺には一目惚れした人がいます」

「それは誰ですか?」

「俺が一目惚れした人は…」

そう言って大介は剛に近づき唇を重ねた。

「……」

大介の行動に黒はショックを受けその場から走って離れていった。

その後、大介は唇を離し驚いた顔で見つめる剛に告白した。

「森林で剛さんに抱きしめられたとき胸がドキドキしました」

「……」

「初めて男性を好きになりました」

「大介さん」

「寝室に行きませんか?」

「寝室に行ったら大介さんを抱いてします」

「嬉しいです」

「……」

無言で魔法の杖を消すと剛は大介をお姫様抱っこしそのまま家の中に入り寝室に向かった。

そして剛は中に入り大介をおろすと口を開いた。

「本当に抱いても良いんですね」

「……」

剛の目の前で全裸になると大介は剛の手を掴みベッドに近づくとそのまま倒れ覆い被さっている剛に声をかけた。

「好きです」

「大介」

呼び捨てで名を口にすると剛は大介の唇に唇を重ねその後、唇を離すと剛は全裸になり大事な部分を大介のお尻の穴に入れ腰を揺らした。

「ん…ああ…」

「……」

愛撫に感じる大介に剛は発情が高まり発情が静まるまで何度も何度も大介の身体を抱き続けた。

その頃、黒は馴染みの酒場でやけ酒をしていた。

そこへスーツ姿でサングラスをかけた男性が黒に近寄ってきた。

「大介が経営しているホストクラブのお客さんですよね」

「…あなたは?」

「大介に告白しましたか」

「したけどふられました」

「大介のこと諦められないのなら力になりますよ」

「…あんたが?」

「車で待ってます」

そう言ってテーブルに名刺を置くと男性は酒場を出ていった。

酒を飲みながら名刺に目を向けると黒は名刺を掴みお金を支払うと酒場を出ていき黒い車に近づいた。

後部座席のドアが開き黒は乗り込みドアを閉めた。

「大介さんに好きな人がいても構わない、大介さんを手に入れたい」

「わかりました、力になりましょう」

「……」

運転手のホストが振り向くと男性が口を開いた。

「店に向かってくれ」

「はい」

正面に向きエンジンをかけると運転手は車を走らせホストクラブに向かった。

静かな車内の中、男性が口を開いた。

「あんた黒猫だろ」

「え…」

一気に酔いが覚めた黒が「あんた誰だよ」と問いかけると男性はサングラスを外し黒に目を向けた。

「俺の名前は勇気(ゆうき)」

「勇気…」

口にすると黒は金色の瞳に心を奪われ気を失った。

勇気はサングラスをはめ窓に目を向けると微笑みながら風景を見つめた。
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