アヌビス神

文字数 969文字

エジプト神話に出て来る冥界の神。
ジャッカル、若しくはイヌ科の動物の頭部を持つ半獣の神である。
ミイラ作りの神であるため、その体は遺体の防腐処理に使うタールを塗り込んだ様な黒である。墓場をうろつくオオカミや犬がその原型であると言われる。


「・・・大昔から彼が冥府の主として死体の保存や、また進んでミイラとなったものに許される生活の付与について、ある役割を果たしている事は確かである。ピラミッドの時代から彼は死者の審判に関与し、『死者の書』第125章、否定的告白の中に出て来る挿絵の中に姿を現す。そこで彼は天秤棒を検査している。『私の名が栄える書』の中でも当然の様に『ハデースの門番』と呼ばれている。この役割の中でギリシャ人たちは彼をヘルメスと同一視したのである」

「・・・ギリシャ・ローマの世界ではその野犬、またはジャッカルの容貌が彼らの想像力を刺激した。彼はウェルギリウスの詩にも現われ、その「アヌビス犬」はマラルメの次のような脚韻を生み出している。

『偶像アヌビス』 「獰猛な吠え声の如く燃え盛る鼻面」

一方、ずっと以前から彼は南部にも進出していた。アル=シンベルで彼は「ヌビア」の王となっているからである。彼が月と結びついているのはどういう訳か?・・・」
         
                         エジプトの神々 白水社  より
                     
  フランソワ・ドマ著 大島 清次訳 
                     


大地の神ゲブと天空の神ヌトの夫婦神の間に二組の夫婦神が生まれた。
オシリス(男)、イシス(女)セト(男)、ネフティス(女)の四人はそれぞれオシリスとイシス、セトとネフティスという夫婦になる。
ネフティスはセトの妻であったが、兄オシリスと不倫関係になり、アヌビスを身籠った。
オシリス神話ではオシリスを中心に据えたため、セトはそれに敵対する『破壊』、『悪』の神とされた。セトはオシリスを憎み殺害する。死せるオシリスと生けるイシスは交わり、ホルス神が誕生する。セトはホルス神によって殺される。

アヌビスはオシリスの遺体をミイラにした。
オシリスが冥界の王となった後は彼を補佐し死者の罪を天秤を用いて計る役割も担っている。
また、「道を開く者」と呼ばれ、死者をオシリスの元に導くとされる。

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