第5話 古本屋

文字数 569文字

すいません、いらなくなった本を売りたいんですけど。

買取ですねー。じゃ、ちょっと見せていただけますか?

なるべく高く買ってほしいんですよねぇ。

これ、昔話題になったやつなんですよ。

『世界の中心でAIが叫ぶ』

なんか、タイトルが微妙に違うな。

……って、コレ、ただの同人誌じゃないですか。

主人公と女性ロボットが恋愛関係になったあと、ロボットを致死性のウイルスが襲い、看病の甲斐なくロボットは機能停止して……って、

似たような設定でパクり企画の上に、表紙にあらすじ全部書いちゃってるじゃん。

この本作った奴、全方向でセンス無さすぎだな。

これは? 高く売れるでしょ? 映画化もされた人気作。

主人公とヒロインの許されない関係を、ジョジョ的な感じで描いていて……。

抒情的でしょ。この恋愛小説に荒木飛呂彦先生の要素、一ミリもないから!

ジョジョ的恋愛モノってどんなですか!

あ、コレ! 漫画!

鬼退治有名な奴。

あ、今人気の……って桃太郎の絵本じゃん。言い方で騙して高く買わせようとすんなよ!
いやマジで金ないから本でも売って金つくりたいんだよねー。
そもそも古本ってそんなに高くは売れないものですよ?
え? そうなの!?
そこそこ人気の本を10冊くらい売っても、せいぜい、調味料一個分くらいですね。
え? 調味料?
古本だけに、古書(こしょ)う一個分くらい。
ぎゃふーん!
おしまい
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