五月雨
文字数 217文字
五月雨の夜のこと
トゥッ タタ
ティト ッタ
私の鼓膜を震わすのは 童のいたずらか
おぼつかない手つきは 弦を奏でるらむ
トゥッ タタ
ティト ッタ
新緑を弾いて 踊る音か
ステップ踏みて 若葉の向こうへ跳び越えるらむ
トゥッ タタ
ティト ッタ
真暗い中を落つる雫は 陽が登ることを望まじ
嗚呼 春の微熱が恋し と叫べども
辺りはしずしずと明るみ 空気は冷ややかなり
寂しくも愛しひ感情が ブリキの中にポタリと溜まる
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