第15話「……っていう、「ボケ」や!(どや顔満漢全席)」

文字数 2,260文字

~前回からのあらすじ~

龍から逃げ切ったあと今度はカイカが腹痛に襲われたものの、薬のおかげか回復。

その後丘を越え、現在、山田一行は副都の目の先までたどり着いていた。

カイカってさ
ん?
ツッコミよりボケの方が向いてると思うねんけど、どう?
……
……
あのさ
うん
現時点だとこの作品、「20話までは書く」って宣言されてんだよ
せやね
つまり、20話で最終話。もしくは一区切りつくはずなんだよ。

で、その20話まであと6話までしかないわけじゃん

うん
 
……
……
 
それ、今しなきゃいけない話?
とても……重要なことだ……
この段階まで来て俺がボケとツッコミどっちに向いてるかとかさ……。

なんかこう、他にやることとかないの?

他にやることって?
なんか、手強いモンスターが現れるとか……
じゃあ、尺の都合でボツになったカイカが死にかけるルートやる?
 
……
……
 
で、なんでボケの方が俺に向いてると思うんだ?
んふふ……、えっとね。カイカってアホやん?
うん、まあ……お前に比べりゃそうかもな
その割にツッコミはちゃんとしてんねんけど、そこまでやねんな。

盛り上げる気がないねん。ただツッコんでるだけや

そりゃ盛り上げようと思ってやってる訳じゃねーからな
でも根はアホで天然やから、時折素でボケるやん。

そういうボケの方が笑いに繋がるもんやろ?

「分かるよね?」みたいな顔されても困るけども。

まあそうかもな

というわけで、毎回ツッコんでくれてる所悪いけど今日からボケの方を頼むわ
もう一回言うけど、「ツッコんでやろう」と思ってツッコんでる訳じゃないんだぞ
んじゃここで早速ボケよろしく
ボケろって言われてボケれるもんでもないよね
ええ? ボケろって言われてすぐボケられへんの?

今まで何の修行をしてたんやお前!

少なくとも「お笑い」の修行ではない
しゃーないなあ。じゃあウチが超とっておき、爆笑必至のお手本を見したるからよう見ときや?
おう、見ておいてやるよ
すぅー……
……
はぁー……
……
すぅー……
……
はぁー……
……
……
……
すぅー……
もういいだろ深呼吸は! 何回やるつもりだよ!!
……どうや?
どうってお前……あっ!
「ネタに入る前の深呼吸」をあえて何回も繰り返すことで、「いつまでやってんねん! さっさと始めえや!」というツッコミを引き出す訳や
とりあえずボケろって言われたら「よしとっておきを見せてやる」っていう豪快なフリをしておいて、いつまでも深呼吸する事で笑いが取れる
……っていう、「ボケ」や!(どや顔満漢全席)
な、なるほど……。普通に使える(?)なそれ
まあこんな感じでやってみたらええねん。

下手でもええからボケてみ。ウチのツッコミで笑いに変えたるわ

よし、ちょっと考えさせてくれ
ええよ
うーん……
……
……
……
……
ふわぁ~あ、あぁ……
よし。準備できたぞ
ふあひふ……ん。渾身のボケ出来た?
渾身かどうかはともかく用意はできた。いくぞ?
よっしゃ来い!
なんでやねーんっ!!!
はええよ!! まだ何も言ってねーよ!!
ツッコミのお前がボケに回ってどうすんだ!

最初からボケさせる気ねーだろお前!

いやー冗談冗談。ここからちゃんとツッコむわ
本当だな? じゃあやるぞ
ええで
俺、この前ダンジョンにいたら狼に会ったんだよ
それはいつの話? ダンジョンってどこ? 行った動機は?

狼の種類は? 会ったって具体的にどういう状況で

割り込むな割り込むな! クソ長ったらしいし!

やり辛えだろその後の流れが!

ごめんごめん。続けて?
で、その狼が俺を見たから、俺はすぐ剣を構えたわけだ
しかし狼に勝てるはずもなく無残に敗北したのであった
話の流れを変えるな。んでもって殺すな。黙って聞け!
へいへーい
すると狼は「ウオォォ」って吠えたんだよ。ものすごい声で。

その後戦ってなんとか倒したんだけども。

あの狼はやっぱり、俺のことが怖かったのかな? どう思う?

……
……
……そうちゃう?
ツッコめよ! 生真面目に答えてるだけじゃねーか!
ごめん。ボケのレベルが低すぎてつい真面目な返しになったわ
なんだこの俺しか損しない一連の流れは
いやー、やってみて思ったけどカイカは天然でボケる方がええわ。

無茶振りしてボケれるほど詳しくないし

無茶振りだって分かってるなら初めからやらすな
ごめんごめんて。ところで、アレ
ん? ……あ
城門や。いよいよゴール地点、副都やで
やっと見えてきたか。ここまで長かったような、短かったような
ええとこ二週間くらいやけどな。

まあウチとしてはある意味ここからが本番かな

ギルドのリーダーを説得するんだもんな。大丈夫かよ?
まあ十中八九いけると思う。万が一アカンかったら一旦撤退や。

そのために師匠の研究室から色々もらってきたワケやし

実力行使か
ギルドのメンバーも相当おるやろうし、そうなると面倒や。

穏便に交渉するけど、決裂したら下手するとものすごい戦いになるで

……
……ま、安心しーや。ウチがおんねんから。

カイカはたぶん何もせんでいけるよ

まあ、穏便に解決することを祈ってるよ
うん
で、どうやって城門を通る? さすがに監視の目は厳しいだろうし、

前みたいな作戦で通れるとも思えないぜ

せやなあ。飛ぶのはこの前やったし、今度は穴で……も……
? どうした?
……城門の真下。見てみ
城門の真下……?






……
……げっ
完全に待ち構えとるわ。向こうさんもうこっち見てるで。

カイカ、剣抜いときや

全然追ってくる気配がないと思ったら待ち構えていたギルドの暗殺者ハイロ。

もう山田たちには気づいているようで、逃げても遅い模様。

ゴールを目の前にして難敵登場! 次回、たぶんシリアス回!

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登場人物紹介

山田太郎

元道具屋の店主。高レベルな魔法の腕を持っているが、

なぜか関西弁の守銭奴とやけに現代的な性格。

「ドカベンって呼んでもええで」と言ったり、

偽名で岩鬼正美を名乗るなど、某野球漫画に謎のこだわりあり。

カイカ

冒険者の戦士。腕前に自信があったので難関ダンジョンに挑戦してみたものの、準備不足で傷薬がなくなりピンチに陥るちょっとしたマヌケ。腕は確からしいが、コミュ力がないと山田にディスられている。

ハイロ・アナグレタ

第3話より登場。酒場の看板娘らしい。

たちの悪い冒険者に絡まれていたところを山田たちに助けてもらう。

美人さんだが、なぜか「~っす」という語調で話す。

師匠(アネア・エアクオウ)

第9話より登場。凄腕の魔法使いで、山田の師匠。

100年以上生きているらしいが若々しく、「魔女」らしい風貌。

しかし魔法以外の事は99%忘れてしまうらしく、100年前どころか

昨日のことすら記憶が怪しい。山田いわく「後期高齢者」

ヨミド

第19話より登場。ギルドのリーダーで、魔法使い。

厳格な性格で、プライドが高いような発言が見受けられる。

第一章の山田とカイカはヨミドと会うために旅をしているが、

その役割を考えると、たぶん彼がメインヒロインなんだと思います。

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