文字数 402文字



子供の頃は何もかもが特別だった
一枚の落ち葉はお金になり
道に敷かれているタイルは
おもちゃたちの国になった
母の指輪は海賊の隠された宝物
丸めた新聞はナイトの剣
何でもかんでも自由自在の魔法で変わる
寝てばっかりのネコは
モンスターのように高いところから
僕が飽きるのを待っているけど
その日のこのステージは僕のもの
頭の中で積み上げられていく
ファンタジーは終わりもなく
それでいて誰かに見られる事なく
僕の中だけで完結していく
何もない何もできない小さな檻
ひとりで行けない外の世界は
この中では自由に広がっていった
勝つのも僕負けるのも僕
笑うのも僕泣くのも僕
僕だけの世界 昨日とも明日とも違う世界
大人になって広くて自由な世界は
玩具箱の中に全て片付けられてしまったけど
時々ふとした時に顔を出す
ぬいぐるみのような雲
色ネンドで作ったようなお菓子
眠り込んでた好奇心が
心のどこかで疼き出す
冒険なら出来るはずだと
あの頃の僕が背中を押した気がした




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