1 ✿ 受難の荊冠

文字数 617文字

魂すら灰になりそうな煉獄で、誰かの手を握っていた。

熱い……。

でも、握られた手は温かい

目を開けると、そこには。
……。

君は、前にも僕のに……


あれ、動けない!!

ジョンは瓦礫に背を凭れたまま、身体を動かすことができなかった。
(これはおそらく前世の記憶だ…。この場所に【前の僕】がいたんだ)

ジョンは、そばにいる修道女を見つめた。


前の彼】もここで、彼女を見つめていたのだ。

あなたを心から愛しています……

僕も、あなたが愛しくてたまらない。

あなたは……誰なのですか?

忘れてしまったのかい?

いつのまにか隣に現れた「影法師」は頭巾をはらうと。

神の花嫁でありながら背徳の愛を僕に捧げてくれた。


それは僕も同じだった

彼もまた、祈りの道にいた者なのだ。


影を生きる隠遁者いんとんしゃ『修道士』として。


影法師の名は…。

リカルド。あなたを愛しています……
アリエッタ

目も髪も、君のすべてが懐かしい。「懐かしい」が胸に痛い…

彼女を心から愛していたからだ。
また手紙をください、魔法使いさん

手紙ではダメです。

あなたが、そばにいなくては……

聖堂の天井が崩壊し、ジョンたちを襲う。


この悪い夢はどこから始まったのだろう。

僕らは受難こうむった。ともにいばらの冠をかぶったんだ…
受難の荊冠けいかんは、業火で燃えたろうか。

どうかこの悲しみが続きませんように。


夢から覚めると、客室の天井が広がっていた。

文通相手遠いのは……もうイヤだ

涙がこぼれ、頬を伝った。

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登場人物紹介

帯刀 咲良  (たてわき・さら)


 高校2年生、剣術道場の娘。

ジョン・リンデン


イギリス人

インターポールの捜査官。

天羽 理々(あもう・りり)


高校2年生、咲良の親友

合気道部

ラルフ・ローゼンクランツ


ドイツ人

インターポールの捜査官。

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