三十七 新法と地球防衛軍

文字数 3,040文字

 作業場のテレビが緊急ニュースを告げた。
《緊急ニュースをお知らせします。
「震災復興法」が法制化されました。
 衆参両議員の要請で臨時国会が召集され、東海大震災と東北大震災の、さらなる復興計画が法制化されました。
 東海大震災と東北大震災の復興迅速化が超党派の議員によって議論され、復興は政府権限で迅速かつ確実に行なわねばならないとする
「大震災復興法」
 が議員立法で成立しました。これには原発破壊事故による放射能除去も含まれます。

 速報です!
「日本国憲法条文訂正法」が法制化されました。ただちに憲法条文が訂正され、憲法が改正され、
 自衛隊が、「地球防衛軍」に、
 防衛省が、「地球防衛省」になりました!

 これまで自衛隊は、東日本大震災と東海大震災の復興に多大な貢献をしました。
 自衛隊を、国民と国土を守る防衛軍に、将来は地球を守る防衛軍に昇格するため、日本国憲法の条文訂正法が法制化された結果です。
 戦後の日本国民に民主国家の意識を植えつけ、国会議員の三分の二以上が賛成しなければ憲法を改正できないようにし、日本に軍備を持たせないとした旧GHQからの完全なる脱却です。

 地球防衛軍の基本理念は、人類と地球の保全です。
「あらゆる危機から、国民と国土と国家を防衛し保全する」との基本理念に基づき、地球防衛軍は、自衛隊と検警特捜庁航空検警特捜局と海上検警特捜局それぞれの一部と消防で組織され、ただちに東海大震災の復興に従事します。
 地球防衛軍は、国民保護防衛と陸海空にわたる国土保全防衛のために行動し、国民と国土に危害を及ぼす対象が攻撃目標です。

 地球防衛軍の行動権限は基本的に政府にありますが、実質は
「地球防衛大臣」である
「地球防衛軍総司令官」に集約されます。
 これらより、地球防衛軍はあらゆる危機に対して迅速に行動できます。領空領海を侵犯した船舶と航空機の処置に戸惑うことはありません。情報はすべて公開されます。

 過去にあった政府の情報隠蔽は
「国家反逆罪」の重罪です。
 防衛省情報本局は
「地球防衛省情報局」
 と改名します。これまで同様、統括情報庁の組織であり、同時に各省情報局と連携した並列組織に変わりありません。

 地球防衛軍は軍備を整え、海上国境に軍を派遣し、常時、空海両面から国境を警備し、日本国籍の船舶と航空機の警護を行ないます。
 特に日本国籍の漁船警護と領海侵犯船の拿捕、日本国籍航空機の警護と領空侵犯機の拿捕、及びに攻撃機の撃墜に従事します。
 政府はこれらを世界各国に向けて発表しました。これらは国際法に基づいた国家防衛であり、何ら問題ありません。


 今回の臨時国会で、以下の人々が、「公務員政策立案推進実績責任法法違反」と「公約宣言厳守責任法違反」で逮捕されました。

 政策仕分けと事業仕分けを無視して高給を得ていた官僚。
 公務員宿舎建設など不要な施設増設に関わった官僚。
 官僚の天下りと渡りがくりかえされている国家法人の存続に関わった官僚。
 政府組織を私物化していた官僚。
 福島原発破壊事故で情報隠蔽して偽りの発表をしていた長元総理と太山元官房長官と海田元経済産業大臣ら元政府閣僚と官僚。
 浜岡原発破壊事故で情報操作した山田元総理と井上元官房長官と元政府関係者。

 海田氏の逮捕は八月二十七日に続きに度目です。
 同時に、政府閣僚と官僚に恫喝及び圧力をかけていた経済界の要人も、国家保全法違反で起訴されました。
 これまで経済界の政治介入は頻繁に行なわれていましたが、経済界の政治介入は国家保全法違反です。

 また、政府内に学閥組織を構成させた原因となった、政府と経済界に癒着した大学組織や学術組織、そして有識者委員会や学識経験者委員会など、政府や経済界に癒着して経済界に有利な政府政策に口添えした学術団体や、それらの母体になった大学組織に検警特捜庁の捜査査察が入りました。関係者に国家反逆罪が課せられます。
 これらにより、これまで各省庁をはじめ国家機関や国家法人を私物化してきた官僚組織解体と、経済界の政治介入組織の解体、政府内に学閥組織を構成させた原因となった、政府と経済界に癒着した大学内部組織が解体されます。


 速報です!
 政府は国会の場で
『「公務員政策立案推進実績責任法違反」と「公約宣言厳守責任法違反」で起訴された閣僚と閣僚、経済界人、大学関係者の逃亡阻止のために、
「地球防衛軍によって全ての交通を停止し、政府と各省庁、政府組織、政府施設など、政府に関連する全ての組織と企業を、地球防衛軍の指揮下に置く」』
 と宣言しました。

 報道管制はされません。
 逮捕者は「公務員政策立案推進実績責任法」と「公約宣言厳守責任法」に基づき「国家反逆罪」が課せられ、財産を没収されて東海大震災と浜岡原発の復興労働力へ駆りだされる方針です。
 政治介入してきた経済界の要人たちにも同様な方針が執られます。

 八月二十七日、「公務員政策立案推進実績責任法」と「公約宣言厳守責任法」に基づいて逮捕された、原発政策に関係した旧政府閣僚と旧官僚及び旧政府関係者、旧経済界人は、全財産を没収され、一族もろとも福島原発の復興労働力に駆りだされています。
 現在も「公務員政策立案推進実績責任法」と「公約宣言厳守責任法」に基づく捜査査察は続いています。時効はありません。
 二〇一一年当時の元厚生大臣は、閣議決定されていない私的な考えとして、年金制度改革について発言しました。これも不用意に国民を混乱させたとして、「公約宣言厳守責任法違反」で捜査されています。
「東南アジア・オセアニア経済圏協定」で国家利益を損なえば、現総理も捜査査察の対象です。


 速報です!
 今回の臨時国会で、国会を、国民が直接請求権と決定権を持つ直接民主制の一議会
「国家議会」
 と改名して日本の行政府
「国家議会政府」
 とする法案が可決されました。これにより国家議会議員数が大幅に削減されます。

「国家議会」は各都道府県知事たち各都道府県から選出された、二名もしくは三名の議員、各省庁大臣、「地球防衛大臣」である「地球防衛軍総司令官」から構成されます。
 議案提出機関の
「国家議会対策評議会」
 が「国家議会」のまとめ役であり、実質政府になります。

「国家議会対策評議会評議委員」通称「評議委員」は、「国家議会議員」から選出された六名と、「国家議会議長」を務める「国家議会対策評議会評議委員長」通称「評議委員長」の、計七名で構成されます。
 権力集中を防ぐため、各省大臣と「地球防衛軍総司令官」は「評議委員」に選出されません。

 なお現在、「国家義会議員」の選出と「評議委員」の選出が行なわれています。

 また、旧内閣官房情報局の名称が、
「国家議会対策評議会情報局」
 と改まり、
「統括情報庁」の直属機関になりました。下部組織はこれまで同様、
「法務省公安情報局」
「法務省公安検警局」
「外務省国際情報局」
「地球防衛省情報局」
 です。政府組織が急変したためフリップが準備できませんでした・・・》

 キャスターは
「検警と情報と軍事に関する、組織形態」
 と書かれた手書きの図を示した。ニュースはなおも続いた

《国家義会議員の選出に手間どっています。評議委員の選出まで日数がかかる見こみです。実質政府は・・・、
 洋田総理が、国家議会議長と国家議会対策評議会評議委員長に選出されました。国家議会対策評議会評議委員は暫定的に現政府の閣僚が務める模様です。今後も組織変更はあります・・・》
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