学校再開です
文字数 1,546文字
鞄にいるものはすべて入れたし、あとは寝るだけ。ああ、学校行きたくない。
僕は謎の学校行きたくない気持ちに襲われていた。きっと中学の頃もこんな気持ちに襲われていたに違いない。明日友達に会えるだろうか?そもそも友達は僕にいたのだろうか?
「お兄ちゃん。一緒に寝よう...」
枕を持ってきた琴音ちゃんが近くにいた。後ろには麻里亜さんがいて「おねがい!」という風に手を合わせていた。まぁいいや。
「うん。いいよ」
こうして僕は琴音ちゃんと同じ布団の中で眠った。
朝。外では日が昇り、暗かった住宅街を照らしていた。小鳥の鳴く声だけが静かな住宅街に響いている。料理をする音が下の階から聞こえてくる。
顔を洗ってから朝食をとり、家を出た。
学校までは自転車で15分程走ると着く。一度麻里亜さんに教えてもらったので道は覚えていた。
「よ!久しぶり!翔太。」
玄関で声を掛けられた。しかし僕は彼の名前を知らない。
「初めまして....」
彼はわかっていたかのように頷き話した。
「...やっぱ忘れてるんだな。俺の名前は伊東康平 。記憶のことはおばさんに聞いたよ」
伊東くんのお母さんと麻里亜さんは職場が同じだったこともあり、仲がいい。と伊東君が話してくれた。
「まぁ安心しろよ、勉強とかは教えてやるからさ。友達1号だ」
「よろしくおねがいします」
上履きを履いて階段へ向かった。階段を上ると廊下で生徒たちが楽しく談笑していた。
「こっち~」
伊東くんに連れられ歩いていると隣から女子生徒に話しかけられた。
「あ、あの。話があるので放課後いいですか?」
その子は綺麗な黒い髪をしていて誰かに似ていると感じた。彼女はどこか様子がおかしい。頬を赤らめ、もじもじとしている。
「はい、いいですけど」
「じゃ、じゃあ放課後に屋上で待ってますから!」
そう僕に話すと彼女は逃げるようにしてこの場を去って行った。なんだったのだろう?
「お、どした?なんかあったか?」
「いえ、何でもないです」
伊東君は先にクラスへ入って行った。僕は彼女の走って行った方を見ているとまた話しかけられた。聞き覚えのあるような声で「明石く~ん」と。
後ろを見ると種村さんが立っていた。制服を着ていて、綺麗な茶髪をしている。そうだ、彼女は種村さんに似ていたんだ。種村さんは僕をまじまじと見つめた後に話し始めた。
「ねぇ、さっきの子かわいかったね」
「種村さんが言うならそうかと思います」
「ふ~ん...」
「放課後話があると言われたので気になりますね」
種村さんは寂しそうに僕を見て「絶対遅れたらだめよ」と言い残して去って行った。
クラスへ入ると伊東君が座って女子生徒と話していたので僕の席を聞いた。すると僕の席は伊東君の後ろだった。自慢げに「勉強は任せろ」と話しかけたが誰かの声にさえぎられてしまった。
「あんたの学力じゃ無理でしょ!」と
声の主を見て「だってさ...」と反論しようとしたが彼女の威圧に押され静かになった。
「久しぶり..じゃなくて初めまして?私は佐藤 このみ。康平じゃあ頼りないから勉強は私が見てあげる」
「ありがとうございます」
放課後に屋上で、という話だったから僕は強い日差しを受けるグラウンドを見ながら階段へ移動した。小学校の頃は屋上へ入れなかったが大丈夫だろうか...
「明石くん、いくの?」
「うん。約束したから...じゃあ、いくね」
屋上のドアを開くと強い風に揺られている彼女の姿があった。今日は半日で学校が終わったため屋上に他の人の姿は見当たらない。彼女は顔を赤くして深呼吸をした。そして...
「わたし、あなたのことが―」
僕は謎の学校行きたくない気持ちに襲われていた。きっと中学の頃もこんな気持ちに襲われていたに違いない。明日友達に会えるだろうか?そもそも友達は僕にいたのだろうか?
「お兄ちゃん。一緒に寝よう...」
枕を持ってきた琴音ちゃんが近くにいた。後ろには麻里亜さんがいて「おねがい!」という風に手を合わせていた。まぁいいや。
「うん。いいよ」
こうして僕は琴音ちゃんと同じ布団の中で眠った。
朝。外では日が昇り、暗かった住宅街を照らしていた。小鳥の鳴く声だけが静かな住宅街に響いている。料理をする音が下の階から聞こえてくる。
顔を洗ってから朝食をとり、家を出た。
学校までは自転車で15分程走ると着く。一度麻里亜さんに教えてもらったので道は覚えていた。
「よ!久しぶり!翔太。」
玄関で声を掛けられた。しかし僕は彼の名前を知らない。
「初めまして....」
彼はわかっていたかのように頷き話した。
「...やっぱ忘れてるんだな。俺の名前は
伊東くんのお母さんと麻里亜さんは職場が同じだったこともあり、仲がいい。と伊東君が話してくれた。
「まぁ安心しろよ、勉強とかは教えてやるからさ。友達1号だ」
「よろしくおねがいします」
上履きを履いて階段へ向かった。階段を上ると廊下で生徒たちが楽しく談笑していた。
「こっち~」
伊東くんに連れられ歩いていると隣から女子生徒に話しかけられた。
「あ、あの。話があるので放課後いいですか?」
その子は綺麗な黒い髪をしていて誰かに似ていると感じた。彼女はどこか様子がおかしい。頬を赤らめ、もじもじとしている。
「はい、いいですけど」
「じゃ、じゃあ放課後に屋上で待ってますから!」
そう僕に話すと彼女は逃げるようにしてこの場を去って行った。なんだったのだろう?
「お、どした?なんかあったか?」
「いえ、何でもないです」
伊東君は先にクラスへ入って行った。僕は彼女の走って行った方を見ているとまた話しかけられた。聞き覚えのあるような声で「明石く~ん」と。
後ろを見ると種村さんが立っていた。制服を着ていて、綺麗な茶髪をしている。そうだ、彼女は種村さんに似ていたんだ。種村さんは僕をまじまじと見つめた後に話し始めた。
「ねぇ、さっきの子かわいかったね」
「種村さんが言うならそうかと思います」
「ふ~ん...」
「放課後話があると言われたので気になりますね」
種村さんは寂しそうに僕を見て「絶対遅れたらだめよ」と言い残して去って行った。
クラスへ入ると伊東君が座って女子生徒と話していたので僕の席を聞いた。すると僕の席は伊東君の後ろだった。自慢げに「勉強は任せろ」と話しかけたが誰かの声にさえぎられてしまった。
「あんたの学力じゃ無理でしょ!」と
声の主を見て「だってさ...」と反論しようとしたが彼女の威圧に押され静かになった。
「久しぶり..じゃなくて初めまして?私は
「ありがとうございます」
放課後に屋上で、という話だったから僕は強い日差しを受けるグラウンドを見ながら階段へ移動した。小学校の頃は屋上へ入れなかったが大丈夫だろうか...
「明石くん、いくの?」
「うん。約束したから...じゃあ、いくね」
屋上のドアを開くと強い風に揺られている彼女の姿があった。今日は半日で学校が終わったため屋上に他の人の姿は見当たらない。彼女は顔を赤くして深呼吸をした。そして...
「わたし、あなたのことが―」