歯車の価値

文字数 322文字

 あいつは時給950円の歯車。

 彼女は時給1,200円の歯車。

 彼は月収30,000円の歯車。

 あの人は年収12,000,000円の歯車。

 形や大きさは数あれど、彼らはお金を対価に自らの命を歯車にして社会を回している。

 そんな彼らを見ていると、時給0円の私は価値のない存在なんじゃないかってふと思う。

 社会に揉まれたこともないピカピカの歯車。

 凹凸がいびつな形の歯車。

 そんな欠陥品を買い取ってくれる所はどこにもない。

 いや、別に社会の歯車になりたい訳では無い。何故なら私は知っているから。

 綺麗でピッタリと社会にはまる歯車ほど、壊れやすいということに。

 そう言って私は、今日も時給0円で回り続ける。
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