第11話 全身を感じる呼吸法

文字数 591文字

「ウォーミングアップとして長い呼吸と短い呼吸、10分ずつが終わったら、それからが本番です」と、お寺の住職。
「風船をイメージして下さい。自分は風船で、息を鼻から吸う時、喉、胸、へそへ空気が行って、身体がふくらみます。鼻から息が出る時、逆の順序で身体がしぼみます」
 これが、全身を感じ、呼吸の流れを観察する呼吸法。10分間。

 さらに「身体を静める呼吸法」。テキストには「身体が気持ち良いと感じる呼吸法」とあったが、身体が静かになること=心地良いことに繋がるのかもしれない。
 これは、ただただひたすら、静かに呼吸をする、それを見続ける、ということ。10分間。

 計40分。やはり、疲れる。しかし、気持ちの悪くない疲れ。無料で「自分のためにやっている」という住職に感謝である。
 お寺に、何か恩返しがしたいと申し出たことがあったのだが、「あなたは自分のことをしっかりなさい。その方が嬉しい。寺のことは、檀家がおるから」ということだった。

 しかし瞑想とは何なのだろう。古代インドからあったものらしい。自己を見つめることは難しい。その手段、方法としての「呼吸を見つめる」瞑想法なのだろう。知らないでいいものなど、この世に何もない。知らないでいいのだとヒト任せにするよりも、知る、気づく、発見する…そのツールとして、ブッダは自分自身がいつもしている呼吸に着目したのだ。

 自己ほど近く、遠いものはない…
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