レンゲ畑で

文字数 692文字

 わたしはレンゲ畑で、トンボを追いかけて遊んでいる。
 数多のトンボが、暗闇のなか、レンゲ畑のうえを自由に飛び回っている。
 トンボは何かを追いかけているようだ。
 オスのトンボが、メスのトンボを追いかけているのかもしれないし、メスのトンボが、オスのトンボを追いかけているのかもしれない。
 わたしはそれらのトンボを捕まえようと、レンゲ畑を駆けている。
 いや、駆けているのではなく、這っているのだ。
 わたしの目の前に大きなヤマカガシが現れたが、恐ろしいとは思わない。
 目の前のヤマカガシがわたしによってきて、じゃれ付いてくるが、それを自然に受け入れている。
 目の前で、トンボが交尾している。
 丸く繋がった二匹のトンボが、交尾しながら、空中にとどまっている。よく見るとあちらこちらで、交尾している。
 レンゲ畑の周辺は真っ暗で、まるで暗幕の中の閉ざされた空間にいるようだ。
 風もなく、音もない。
 這っていると、大きな岩が目の前に現れた。
 近づくと、それは岩ではなく、巨大なガマガエルだった。わたしのノドが「ゴクリ」と鳴る。
 その音に、気が付いたガマガエルが振り返り、わたしの存在に気が付くと、「クックックックッ」と鳴き、慌てて跳んで逃げた。
 わたしはお腹が空いていたので、黙って逃がすはずがない。
 わたしはスルスルスルスルとガマガエルの後を這って追いかけた。
「飲み込むには、デカすぎるかも?」
 と考えながら、這っていると、わたしの体が段々大きくなっていくのがわかる。大きくなりながら、長くなっている。
 わたしはガマガエルの「クックックックッ」という、鳴き声を聞きながら、どこまでも追いかけている。
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