(四)-4(了)

文字数 245文字

 このマンションの五階に住んでいる三つの世帯の住人は、今まで良好な関係を築いてきたと言っていい。しかしここへ来て、それぞれに秘密があることがわかった。隣の三川さんにしても竹浦さんにしても。しかもウチの夫についても。
 そしてそれらを壊すことができるのは、恐らく今のところ、私だけだろう。
 そう考えると、私は少し気持ちが軽くなった。それらを明らかにしてしまえば、多くのことが壊れてしまう。そんな核爆弾みたいなものを私は手に入れたのだ。そう思うとそれらの世帯の人たちの頂点に立った気がした。

(了)
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