ふつおたのコーナー@勇者からの手紙
文字数 6,660文字
~~~♪
(ここで音楽が徐々にミュートされていく)
はい。というわけで、HELLMASTERの「CHAOS」でした!
いやぁ、いい曲だったねえ! ギターがジャギジャギかき鳴らされて、ベースの重低音がどてっぱらに良く響く! これから先が期待のバンドだよ! ライブ、いや演奏会が開かれたら絶対にマオウ行くからな!
了解!
では参りましょう。毎回恒例のコーナー!
『ふつうのおたより! 略してふつおたのコーナーコーナーコーナーコーナー!』(エコー)
はい、このコーナーだけども名前からして説明は不要だよね? でも一応説明すると、この放送を聞いてくれているリスナーの皆さんからのお便りを紹介するコーナーです。
ラジオなるものを初めて知った時は電波? っていう物が使われてるらしいけどこっちではそんなものなかったから、何か代わりになるものは無いかって考えてたんだけど、魔力を波として飛ばす事が出来たら同じ働きさせられるんじゃない? って思いついた僕天才だね。
まあこの手のお話しは横に置いとくとして。
こういう便利なものがあるからお手紙やハガキが廃れたかというと、べつにそういうことは全くないのね。魔物の中には喋れないのも居るからね。
ともあれ、こうやって皆さんからお便りが届くのは大変に嬉しい。
今回はお便りが結構来たので、方向性を絞ってお便りを紹介したいと思うよ。
前回は裏世界の魔物の方々のお便りを紹介したから、今回は表の世界、人間達が支配する世界で活動している魔物の方々のお便りを紹介するね。
最初の一通行きましょう。ユミルさん、読み上げお願いします。
例えば、ウサギを元にしたキラーラビットっていう魔物が居るんだけど、見た目はもう本当に元のウサギと何も変わらないくらい愛らしいんだ。
だけどね、キュートな見た目からは想像もできないような、鋭い爪と牙を隠し持っている。うっかり冒険者が可愛さに見とれて不用意に近づいた所を、こう、ズバッとやっちゃうわけよ。
キラーラビットの存在が知れても一定数の冒険者はこれでやられてる。
つまり、効果がかなりあるって事だよ。
そうそう、ユミルさんは地上に行ったことがないからわからないかもしれないけど、あそこは季節が4つあるんだよ。春、夏、秋、冬って。
それぞれの季節に趣があって実に楽しいんだ。特に今の春は花が咲き乱れて美しいんだよ。一度行ってみてよ。
なんで抜く時叫び声上げるんだろうね。あの叫び声、生物なら種族を問わず殺すから厄介なんだよね。流石に魔族は耐性あるけど、それでもあの叫び声聞いたら一日寝込むみたいだし。
マンドラゴラを造ったのは父さんみたいだけど、本当に何を考えてたんだろうな。頭イカれてたんだろうか。
僕も一応魔王であるからには、魔物的な感性、素養があるはずなんだけどね。謎だ。まあ、今度は魔族の皆さんと一緒に地上に行きたいね。侵攻とか制圧とかじゃなしに、純粋に観光に行きたい。サクラの咲く時期に、花見とやらをやりたいし。
実に退屈だよ。大魔王、退屈してます!
いざとなったらそこらの山ひとつ、火球くらいでも消せるんだよ?
そこらの勇者なんか赤ん坊の腕をひねるようなもんだよ!
とはいえ、まだまだレベルが低く大魔王を倒すどころか、ヴァルディア王国周辺のモンスターにさえ苦労する有様です。
また、一癖も二癖もあるパーティメンバーをまとめ、時にはなだめすかしながらの旅は正直な所、かなりしんどいです。
そう思ってこちらに投稿させていただきました。ご迷惑でなければよろしくお付き合いください。
彼女は女性で、前からボクの事が好きなのは気づいてました。
最近はより露骨な態度を示してきています。
ボクも男なんで、そりゃ女の人が好意を示してくれるのは嬉しいんですが……。
残念ながら戦士なんで、筋肉モリモリのマッチョウーマンなんですよね。ちょっと巨人族の血が入っているからか身長も250cm? いやそれ以上あるのかな。
しかも下手な男の戦士よりもはるかに鍛え上げられた体です。
戦士としては非常に頼りになるんですけど、僕マッチョ属性ないんですよね。
センサーの範囲外です。ピコーンと来ません。
まあ別にそれはいいんですが、旅の最中ことあるごとに筋肉ダルマにすり寄られるのはウザイ事この上ないんですよ。暑苦しい。
戦ってるわけでもないのにHP/MPが削られていきます。
見た目は屈強そのものでも、性格もその通りと限らないのがまた辛い所です。
ちょっとでも雑に扱うとすぐにスネたり、戦闘に参加しなかったりどこかに消えたりと面倒で仕方ないです。パーティの盾として戦士にはいてもらわないと困るので、必死にボクが機嫌を取る羽目になります。自分の気持ちの整理くらい自分でやってほしい。
危うく貞操の危機だったのですが、なんとかしのぐ事が出来ましたよ……。
あんな大きな女に襲われたら力では勝てないので、窓から逃げました。逆に体格があり過ぎるのも考え物ですね。ボクの体ならすんなり窓から出れても、彼女はデカすぎて逆に引っかかるんです。しょっちゅうドアの上とかにも頭ぶつけてますしね。
次はヴァルディア王国を抜けてドニ=アーデン連合国の試練の洞窟に向かう予定です。色々と感情が溜まったら、またこちらに投稿させていただきます。
ありがとうございました。
まず異世界からこっちに転移してきたってのにビックリしたけど。
僕も世界を統べる大魔王としての責務が両肩にずっしりかかってるけど、勇者として、大魔王を倒し世界を平和にするという責務も、負けないくらい重いものなんだろうね。
資料を漁ってみても元々別世界でも勇者やそれに準ずることやってる人材が来てるケースばっかりで。でも今回お手紙送ってくれた勇者は、勇者になる前にも紆余曲折あったっていうから多分戦いとは無縁の生活を送ってたと思うんだ。
ただ、別世界からやってきた人々は一説にはこの世界とは違う霊力だとか、精神力だとかを持ってるらしい。それで、この世界の人々よりもはるかに成長が速いとかそんな話を聞いたことはある。
しかし可哀想だね。元の世界での生活もあっただろうに、問答無用で呼ばれて戦いに身を投じなければならない。
選択の余地がない状況。想像するに辛い、つらみが僕を襲います。
ふつおたのコーナーですが宛先は、
{混沌の裏世界・大魔王の城地下666階、DJマオウのデッドオブナイトラジオ・ふつおたの係}
までよろしくお願いします!
ハガキ、お手紙、FAXあるいは直接の音声によるメッセージをお待ちしております!!