4話

文字数 616文字

長い階段を降り、公園から街に戻ってきた僕たちは商店街に立ち寄った。

この時期には天井がシャンデリアのように電飾が飾り付けられていたり、サンタやハートなどの電飾のオブジェが置かれていたりしてきらきらと眩しい。

さっきは疎ましく思ったこのイルミネーションも、永遠先輩がいるだけでこんなにも違う景色が広がるのかと感動する。

えへへへー、イルミネーション綺麗だねえ
綺麗ですねー。世界がきらきらです。
ユウくんー、繋いだ手、あったかいねえ……
そうですね、……もう、一生離したくありません
それは嬉しいなあ……わたしも、この手をずっと放して欲しくない

永遠先輩はぎゅっと僕の手を握り返してくれる。

手から伝わる温もりに心まで温かくなる。
こんにちはー!クリスマスケーキの試食会やってまーす!そこのカップルさん、おひとつどうですか?
ユウくん、ユウくん! ケーキ美味しそうだよ~食べたいよ~!
そう、ですね……じゃあ一つホールで下さい
ありがとうございますーっ!
ユウくん太っ腹!ありがとーっ!大好き♡
……勢いでケーキを買ってしまったけど、どこで食べればいいんだろうか。後のことを考えていなかった。
……先輩、これどこで食べます?
うーん、そうだねえ、私の家は家族がいるし、私が帰ってきたらビックリして倒れるだろうからなしだね、ここはユウくんの家かなあ
あー、はい、ですよね、了解です……って、ええっ!?
うん?そんなに驚いてどうしたの?
いえ……じゃあ、家……行きますか
うんっ!
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登場人物紹介

夢島 永遠


ユウの先輩で彼女。

1年前に交通事故に亡くなるが、クリスマスに実態を持って蘇った。

人当たりがよく、周りの人みんなに愛され、人を笑顔にする。

1人でいたユウに近づき、色々な世の中の楽しいことを教える。

好きな食べ物はたい焼き


ユウ


先輩が亡くなってから、心を閉ざす。

先輩がすべてだった。

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