4 彼女の部屋で【微R】
文字数 1,655文字
「ん……」
「彼女とはするの?」
”なんでこうなったんだっけ……”経緯をぼんやりと思い出そうとしていたら耳元でそう問われ、奏斗は首を小さく横に振る。
「あの子とは……こんなことがしたいわけじゃない」
「あの子”とは”?」
喫茶店を出たのち、奏斗は彼女に部屋へ誘われた。
同行者は父で部屋は一人だという。
「じゃあ、欲求不満なのね」
「ちがっ」
慌てる奏斗に口づけをする花穂。
「はあ……っ」
先ほどからいいところを攻められ、上気した頬。
”あの頃みたいね”と言われ、複雑な心境になる。
「いきたいんでしょう?」
ころころと手のひらで優しく転がされるソレはきゅっと丸まっていた。再び奏斗自身に絡みつき上下する彼女の手。
「さっきので欲情したの?」
トイレの前でのことを言っているのだろうか。
「自分でしたのよね」
「なんでそんな恥ずかしいことばかり聞くの」
”察してよ”と彼女の肩に額をつける。
「わたしに反応したのか知りたいの」
「否定はしない。俺をこんな風にしたの、花穂でしょ」
たった数か月だったが調教された自覚ならあった。
「じゃあ、責任を取らないとね」
「んっ……」
根元からきつく扱かれ、自慰なんかよりもずっとイイと思ってしまっている。やはり彼女の手は自分にとって特別。
「いいのよ?達 って。見ててあげるから」
あの頃も彼女は奏斗が達 くところを見るのが好きだった。
「ん……」
こんな羞恥にまみれた姿を彼女は好んで見たがるのだ。
花穂に撫でまわされれば、何も考えられなくなる。
罪悪感だらけの愛美との行為とは明らかに違っていた。それは自分が花穂のことが好きだからという考えに至らないのは、やはり”遊ばれていたんだ”という気持ちがあるからだろう。
花穂は熱を放つ奏斗の鈴口をじっと見つめていた。
「はあ……っ」
浅く息をしながら、キスを求める。いつまで見てるの? と言うように。
「好きだね」
「奏斗のしか見たいとは思わないわよ」
まるで”特別”とでも言っているように聞こえるが、きっとリップサービスなのだろうと思う。
「いかにも遊んでそうな奏斗がこんなに純情なのが、たまらないのよ」
「ふーん」
「どうしたのよ、そんな顔して。拗ねてるの?」
「拗ねてなんかない」
花穂の背中に腕を回せば、彼女の手が後頭部を撫でた。
いつでも子ども扱いされているような気分になる。
「もう明け方だけど、部屋に戻らなくていいの? 同行者がいるんでしょ」
「ん」
戻りたくないなと思いながら背中に回した手に力を籠めると、彼女に笑われた。
「なあに? 甘えん坊なの」
自分は花穂に甘えているのだろうか。その自覚はない。
元々奏斗はあまりスキンシップを積極的に行う方ではなかった。手を繋ぐのが好きだねと言われることはあっても。
だからこれは花穂の影響なのだ。
おつきあいをしている時、花穂は何かと奏斗に触りたがった。
特に髪を撫でるのが好き。ハグが好き。
頬に触れ、背中を撫でる。
彼女曰く『愛でている』らしい。
『誰にでもこうなの?』
と問えば、
『触りたくなるのは、奏斗だけね』
と笑った。
そうは言われても真に受けたりはしなかった。
それを信じるならば、なぜあんなにもあっさり別れたんだと問いたくなるから。
結局自分は誰とつき合おうが引きずってばかりいる。
そういうことなのだろう。
「映画以外はどこに行きたいの?」
奏斗は彼女に早くいけと言われるのが嫌で話を振る。
「そうねえ。ホームセンターにでも行こうかしら?」
「なんでホームセンター?」
「先日TVで特集をやっていたのだけれど、結構面白そうだから」
高級雑貨店などにしか出向かなさそうな花穂の意外な発言。
「行ったことないの?」
「ないわね」
”庶民の店だから?”と尋ねると、
「ものを買う機会がないのよ」
と彼女は笑う。
ボディーソープにしてもタオルにしても雑貨に関しては専門店からの定期購入なのだそうだ。
「カラフルな陳列、一度見てみたいのよ」
目をキラキラと輝かせる花穂に、お嬢様の感覚はいまいち理解しがたいなと思う奏斗であった。
「彼女とはするの?」
”なんでこうなったんだっけ……”経緯をぼんやりと思い出そうとしていたら耳元でそう問われ、奏斗は首を小さく横に振る。
「あの子とは……こんなことがしたいわけじゃない」
「あの子”とは”?」
喫茶店を出たのち、奏斗は彼女に部屋へ誘われた。
同行者は父で部屋は一人だという。
「じゃあ、欲求不満なのね」
「ちがっ」
慌てる奏斗に口づけをする花穂。
「はあ……っ」
先ほどからいいところを攻められ、上気した頬。
”あの頃みたいね”と言われ、複雑な心境になる。
「いきたいんでしょう?」
ころころと手のひらで優しく転がされるソレはきゅっと丸まっていた。再び奏斗自身に絡みつき上下する彼女の手。
「さっきので欲情したの?」
トイレの前でのことを言っているのだろうか。
「自分でしたのよね」
「なんでそんな恥ずかしいことばかり聞くの」
”察してよ”と彼女の肩に額をつける。
「わたしに反応したのか知りたいの」
「否定はしない。俺をこんな風にしたの、花穂でしょ」
たった数か月だったが調教された自覚ならあった。
「じゃあ、責任を取らないとね」
「んっ……」
根元からきつく扱かれ、自慰なんかよりもずっとイイと思ってしまっている。やはり彼女の手は自分にとって特別。
「いいのよ?
あの頃も彼女は奏斗が
「ん……」
こんな羞恥にまみれた姿を彼女は好んで見たがるのだ。
花穂に撫でまわされれば、何も考えられなくなる。
罪悪感だらけの愛美との行為とは明らかに違っていた。それは自分が花穂のことが好きだからという考えに至らないのは、やはり”遊ばれていたんだ”という気持ちがあるからだろう。
花穂は熱を放つ奏斗の鈴口をじっと見つめていた。
「はあ……っ」
浅く息をしながら、キスを求める。いつまで見てるの? と言うように。
「好きだね」
「奏斗のしか見たいとは思わないわよ」
まるで”特別”とでも言っているように聞こえるが、きっとリップサービスなのだろうと思う。
「いかにも遊んでそうな奏斗がこんなに純情なのが、たまらないのよ」
「ふーん」
「どうしたのよ、そんな顔して。拗ねてるの?」
「拗ねてなんかない」
花穂の背中に腕を回せば、彼女の手が後頭部を撫でた。
いつでも子ども扱いされているような気分になる。
「もう明け方だけど、部屋に戻らなくていいの? 同行者がいるんでしょ」
「ん」
戻りたくないなと思いながら背中に回した手に力を籠めると、彼女に笑われた。
「なあに? 甘えん坊なの」
自分は花穂に甘えているのだろうか。その自覚はない。
元々奏斗はあまりスキンシップを積極的に行う方ではなかった。手を繋ぐのが好きだねと言われることはあっても。
だからこれは花穂の影響なのだ。
おつきあいをしている時、花穂は何かと奏斗に触りたがった。
特に髪を撫でるのが好き。ハグが好き。
頬に触れ、背中を撫でる。
彼女曰く『愛でている』らしい。
『誰にでもこうなの?』
と問えば、
『触りたくなるのは、奏斗だけね』
と笑った。
そうは言われても真に受けたりはしなかった。
それを信じるならば、なぜあんなにもあっさり別れたんだと問いたくなるから。
結局自分は誰とつき合おうが引きずってばかりいる。
そういうことなのだろう。
「映画以外はどこに行きたいの?」
奏斗は彼女に早くいけと言われるのが嫌で話を振る。
「そうねえ。ホームセンターにでも行こうかしら?」
「なんでホームセンター?」
「先日TVで特集をやっていたのだけれど、結構面白そうだから」
高級雑貨店などにしか出向かなさそうな花穂の意外な発言。
「行ったことないの?」
「ないわね」
”庶民の店だから?”と尋ねると、
「ものを買う機会がないのよ」
と彼女は笑う。
ボディーソープにしてもタオルにしても雑貨に関しては専門店からの定期購入なのだそうだ。
「カラフルな陳列、一度見てみたいのよ」
目をキラキラと輝かせる花穂に、お嬢様の感覚はいまいち理解しがたいなと思う奏斗であった。
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