華子との出会い
文字数 2,086文字
正面にある大きな寝台から、先程のあの声がする。白く盛り上がった布団の向こうから、小さな頭が持ち上がった。
薄緑色の肌、
寝具と同じ純白の寝巻の襟元は、
キヨは放心する。
名乗ろうとしたが、キヨは自分の
その背に、再び、分厚い掌の感触。キヨは、もう一歩前へと押しやられる。
半身を起こした華子が、キヨに向かって手を伸べる。キヨは考える間もなく、それに引かれるように近寄った。握手が何なのか知らなかったが、本能的にその手を握る。
華子は、心から嬉しそうに微笑んだ。
その
華子の皮膚は病み疲れ、くすんでいた。
しかしその笑顔は、その名に相応しい彩りを表していた。
何度も
涙が出そうになったが、
夕食は、そのまま華子の部屋で取った。華子が
温めた牛乳、白いパンと
華子の優しい雰囲気に甘え、キヨは訛りのことを忘れられた。ただ、スプーンはまだしも、ナイフとフォークは扱えたものではない。しかしこれも、食事が冷めるのも
華子は口元に人差し指を立てて、しーっと言った。
キヨの気持ちがほぐれる。
初めての洋食はキヨの口には合わなかったが、それでもとても美味しく感じた。
自然、思うままが口に出る。
華子は、手を叩いて喜んだ。キヨは頬を染めて
コツコツコツ。ノックが三度響き、ドアーが開く。
都路が、華子の
名残惜しそうに華子は言うと、手を差し伸べる。
キヨはそれと察し、その手を掴む。先程のように力は込めず、華子と同じくらいにそっと握る。
都路がキヨの肩に手を回し、反転させる。
少女二人の手が、離れた。