第5話(前編)
文字数 1,750文字
何でかは知らないが、客の偉丈夫と妹は妙に意気投合し、家はあっという間に
そのせいもあったかもしれない。
賑やかな家、というのも悪くないが――居た
どうせ、母も義理の父も村を出て、二人で清々しているはずだ。もう会うことは無い――そう、思っていた。
なぜか、村と家を繋ぐ村
「――――!!」
「?」
相変わらず、腰が引けてやがる。しかし、顔はいてくれて良かった、とも語っていた。
「…………その、話…………いや、仕事、が……」
罪悪感に打ちのめされたような、聞いている側が妙に
「何だ」
「村に――近辺に! 魔物が出るんだ。……退治、して欲しい。怪我人の手当てで、手一杯なんだ」
情けない奴だとは思ったが、長の判断にケチをつけても仕方がない。村の
だから、疑おうとは考えもしなかった。
「
最善を尽くそうとしない――ばったり出会うまで黙っていた――ことへの
この時はまだ、何も知らなかった。
「どういうことだ…………これは……?」
仲間を
けれど――そこからが、最悪だった。
魔物の正体は、死体と獣を魔力で掛け合わせた
獣の正体は、大したことは無かった。村の近辺の森でなら割と出会える。
村の仲間程度なら、数人がかりで対処する必要は在るが、大した被害にはならない。
けれど。誰かの――人間の死体の方は……最悪だった。
なぜなら――――
それは、勇者の死体だった、からだ。
『愛している。添い遂げることに後悔は無い』と、言った男の。
『
『……ありがとう』と、
そんな、男の、死体だった、から、だ。
本能的に真相究明を始めていた。
こんなことをして何になる。
そんな発想は、ついぞ浮かばなかった。
「……、……母さん……!!」
涙が止まらなかった。
最初に殺されたのは――母。幻影の魔法でおびき出され、多対一でなぶり殺しにされた。
面子は呆れるしかない連中で――正真正銘、俺への意趣返しを兼ねていた。
その翌朝、義理の父が母の死体を見つける。
そして――命を絶った。魔王を殺した勇者の剣で、自らの喉笛を
勇者の死体から作り上げた魔物は余りにも凶暴過ぎて、手に負えなかったのだ。
暴走されて返り討ちとは、笑い飛ばすしかねえ。
魔物は待ち続けていた。自分を殺してくれる誰かを――最愛の女が命を散らした場所で、待ち続けたのだ。
「――――!!」
殺してやりたかった! あの
きつく握りしめた
「…………!?」
掌の違和感を確かめて、息を呑んでしまう。
何で、こんな物が、俺の掌に――。
『――初見で解かるなら、尚のこと持っておけ。役に立たないことは無いはずだ』
純エーテル
それは、魔族にとって、賢者の石と呼べる