第16話 胸熱の少年③
文字数 2,745文字
このように、当真はアインのおっぱいについて、先程から真剣に考え続けている。
ツヴァイは、そんな不埒な当真の頭の中を敏感に察知したのか、
と言って釘を刺す。そして最後には、まるで彼を追い払う様に、
とまで言われてしまう。当真を睨むように、険しい顔付きをしているツヴァイ。
気合い十分な様子で沢へとやって来た当真。彼はさっそく上半身から裸になる。シャツ等の上着類は行為の邪魔になる為、まず最初に上から脱ぐ。それが彼の流儀なのだ。
背中に視線を感じて振り返ると、何故かそこにはアインがいた。
無言で佇むアインに当真は事情を尋ねてみる。
彼女から話を聞いたところ、どうやら守護者であるアインは、対象から離れる事はないらしい。
そんな事を考えながら当真は少しの間、遠い未来へと思いを馳せた。
やがて当真は大きく深呼吸を開始する。
その為に、事前の準備が重要となるのは言うまでもない。
良い環境で良い作業をしなければ、良い結果は出せないのだ。
汚れを知らぬ少年は、生まれたままの姿で自然へと帰ってゆく。
間違いの無い存在が彼の頭の中に浮かぶ…しかし、ここは違うチョイスでいきたい。その脳裏をよぎるのは…胸当てに覆い隠されてもなお、その存在感を示していたアインのおっぱいだった。
これは相当、良いものを持っているとみるべきだ。
それを使用する事に、当真は爽快な刺激と新鮮さを感じていた。
…そして、山に風が流れる夕暮れ時…辺りの景色が夕陽に染まる中、アインとツヴァイと当真を繋げていた作業。その全ての工程が結実する。
そう言いながら、スッキリとした表情で拠点へと戻ってきた当真。
そこで彼が目にしたのは、ツヴァイに耳打ちをして何事かを告げているアインの姿だった。
二人の様子に嫌な予感を覚えた当真。その動きがピタリと停止する。
コツリ…
その怜悧な瞳を向けながら、ツヴァイはゆっくりと当真に近付いてくる。
すーっ…と剣を抜くと、彼女はその切っ先を真っ直ぐに当真へと突き付けた。
ツヴァイの剣の切っ先に触れた当真の前髪が、パラリ…と地面へ舞い落ちる。
そして彼女より、当真に対する判決が言い渡された。
それを見た当真は、バッ! と脱兎の如く逃げ出した。
ビュンッ、シュパッ!
剣を振り回して追い掛けてくるツヴァイ。当真は必死になって彼女から逃げ回る。
悲鳴を上げて逃げながらも、二人に向けて当真は苦し紛れにこう叫んでいた。