第12話:新潟営業所へ転勤

文字数 1,739文字

 いよいよ4月から新潟営業所での仕事が始まり、最初は、奥さんが妊娠していて、単身生活から始まる。そして、家族が来るのは、来年からになる。4月1日、早朝、横浜を出発。奥さんが、新しく借りた家も見たいと言うので、女の子2人と身重の奥さんの4人で出かけた。9時過ぎ、関東平野、大宮、高崎を抜けた。

そして、だんだん山深くなり水上を過ぎる頃には、山に多くの残雪が見えた。小説雪国で、有名な、清水トンネルを抜けると、まさに雪国という感じだ。田畑も道も全部、雪だらけという印象が、ぴったりだった。雪におおわれているのを見ると、軽い、息苦しさを感じたのである。その後は、ずーっと同じ景色が続いた。

 かなり時間が、長く感じられたが、突然、次は、新潟駅と言う車内アナウンスが、聞こえた。 村下と奥さん子供さん達と共に新幹線で新潟駅に降りた時は、なんとも言えない、湿っぽさと、寒々しさが印象的だった。市内中心部をタクシーで移動し、最初に万代橋が見え、信濃川の大きさに驚かされた。

 続いて、新潟伊勢丹が見えた。万代橋を渡った所にある、今晩、宿泊する、ホテルオークラ新潟に着いた。身重の奥さんの事を考えて、部屋でゆっくりと休んでから、ホテルのレストランへ行った。 気品があり、清潔そうな所であり、料理も十分満足できた。特に、炊きたての、ご飯がうまい。独特な形に切った、しゃけの焼き物も、すごくおいしかった。

 翌日は、新潟営業所の山田所長と家族全員で面会する事にした。そして借家の場所や私の新潟での営業活動のあらましを聞いた。山田所長から営業活動は4泊5日、つまり月曜日に出社し、
金曜日に帰るという事になるだろうと聞かされた。詳しく言うと、月曜日に新潟を10時に出て、長岡の大型病院を訪問し、夕方は、小千谷の病院訪問し、小千谷か十日町に宿泊。

 翌、火曜日、医薬品卸さんを訪問して、昼間に十日町、津南を訪問して、夕方、小出か六日町病院へ移動して訪問。夕方、高速道路を使い、長岡に戻り、翌、水曜日は、長岡の医薬品卸を訪問し、訪問し残した長岡、小千谷の開業医さんを訪問し長岡に宿泊。翌、木曜日、その週に、訪問できなかった先を訪問して、長岡に宿泊し、翌、金曜日に、午後15時過ぎに新潟へ戻る。

 これを聞いた、村下の奥さんが、随分と強行軍ですねと言うと、確かに、その通りですが、優秀な村下君なら上手に訪問して、木曜の夕方に帰ってくることも可能でしょうが、最初は、大変だと思いますよと話した。そんな話をして土曜日の夕方15時になり以上ですと言い、所長さんが、失礼しますと言い、帰っていった。

 村下家族は、ホテルに帰ってからホテル内の和食レストランに夕食を食べに行った。やはり新潟の魚は、評判通り旨い。その後、ホテルに、もう一泊して、日曜の午前中に村下の家族と奥さんが新幹線で全員で帰宅した。翌日の営業会議で、村下が、所員に紹介された。担当地区は、長岡、十日町、六日町、津南と、新潟県の山間部と言われた。

 翌日、家族と合流し、山田所長と借家を見て回った。良い物件があると不動産屋さんが言うので行くと、そこは、営業所から車で20分、海に近い国道沿いの新築の2階建て4K。家賃は月に7万円、駐車場付き。関東では信じられない安さ。もちろん奥さんも新築で4Kの広さに十分満足。直ぐ、抽選申し込みを済ませた。

 しかし、奥さんは、妊娠6ヶ月であり出産に備えて実家へ戻る。そんな村下が、いろんな事件に巻き込まれるとは、つゆ知らず、はつらつと新潟営業所へ赴任した。次に営業所のメンバーを紹介しておこう。営業所の山田所長は、ゴルフがめっぽう上手な学術肌の営業マン。所長も、自ら大学や県内の大型取引先を担当して営業活動に励んでいた。

 営業所の女子事務員は、新潟出身の高卒2年目と4年目で、男子社員の話や人事異動の話題について、昼休みに話していた。営業社員は、他に3人。それぞれ、担当地区ごとに、紹介していくことにする。まず、上越方面が入社2年目の佐藤君。

 下越・新発田方面が入社5年目の鈴木君。新潟市内と佐渡担当が入社六年目の山下君。それに村下が、長岡、中越など山間部担当である。新潟営業所は、山田所長を含め、男性営業社員五人体制となった。
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