第37話  白竹魔優視点 本当の私 4

文字数 3,276文字

 

 ※


 結局みんなで下校することになりました。私と美優。蓮くんに……男の子三人組です。

まぁ白竹さんも元気出してくださいよ。

そんな輩如きにヘコまなくていいんですって!

でも……

そうですよ。気にすることはありませんからね。


魔樹も……気にすんなって。

って言っても無理か。


俺も二人の気持ちが分かるだけに、これくらいしか言えない。

 蓮くんは美優を心配しながらこちらにも視線を送ってくる。

 その気持ちを察すると、逆に申し訳なく思ってきちゃう。

でも、具体的にどうするべきかな?

本当は泣いて喜ぶイベントなのにな。

美男美女姉弟にはゆゆしき問題か。難しいところだ。

 美優が下を向くと、男の子達も心配そうにフォローしていた。

 そんな中、蓮くんだけがこちらを覗きこむ。この時ばかりはウィンク出来なかった。


 みんな何も言わないまま校門前まで来ると、その時急に「そうだ!」とオールバックの子が叫ぶ。

 さっきみんなに蹴られまくってた男の子です。

お~い西部。つまんねー事だったらござるキックお見舞いするぞ。

今までの経験上、期待できる確率はアイプリのURが出るくらいだね。

1%じゃねーか!


まぁ待てよ。その1%で当たり引いちまったぞ!

で、何か対策を思いついたのか?

 仁王立ちな……西部くん。ようやく名前を覚えました。

 胸ばっかり見る男の子ってイメージが強いから。

いいか? この作戦はな……ここにいる人間だけの秘密だ。

そのプロジェクトはズバリ!


ニセコイ作戦だ!

ニセコイ?
何言ってんのお前。ござるキックすんぞ。

待てよっ! 作戦名聞いただけで却下すんな!


いいか? これはまず、ここにいるみんなが外部に漏らさないと団結する必要がある。


そして……俺と白竹さんが。付き合うって……

待て! 蹴るなっつーの! ちょ! 黒澤まで……

あっ! まさか西部!
ちょ! やめろってお前ら! だからニセコイって言っただろーが!

 そこで私も気がつきました。

 その後で蓮くんや男の子達も、西部の提案に気がつくとキックするのを止めます。


 校門前で悶える西部くんがようやく立ち上がると、息を切らしながら説明するのでした。

仮に付き合うってこと?

そうだよ! 周囲に「俺と白竹さんが付き合った」

そう言いふらしておけば、大抵の男は引き下がるだろ?


言い寄られる原因の一つに「白竹さんがフリー」という現実がある。

だが、彼氏持ちになれば普通諦めるだろ? それでも言い寄ってくる奴はガーディアン黒澤に任せばいい。


どうだ! 完璧な策略だ! というわけで白竹さん。付き合いましょう!

こらこら。何言ってんだよ。

いい作戦だとは思うが、何でお前が白竹さんの彼氏役なんだよ。明らかな人選ミスだぜ。

ここは……どう考えても黒澤でしょ。
 するとみんな一斉に蓮くんに視線を向けた。
え? おれ?

それがいい。そうすることで美優に言い寄る男も少なくなりそうだ。


ちょ! おい! 俺が提案したんだぞ! ここは俺に任せ「

西部っ! 無理だって!

それにさ、もし言い寄る男とケンカになった時、西部はちゃんと彼氏役できるわけ?


僕は黒澤がいいと思う。

あ、あにょ、あの……

俺も黒澤が適任だと思う。弟さんはどう?

僕も黒澤なら構わないよ。
お前ら……
白竹さんはどう? 黒澤なら安心でしょ?

私はその……は、はい。


あふっ! ニセコイって言っても……蓮くんの彼女に……

 正直とてもいい案だと思った。

 最初は西部と美優とかありえないと思ったけども、彼氏役を蓮くんにすればとっても素敵な方法だった。


 そうすれば美優と蓮くんが二人きりで居たとしても、彼氏彼女なら何らおかしくないし、気を使って邪魔されにくくもなるし、言い寄ってくる男もいなくなる。

 

 それに……魔優でも同じようなニセコイを演じられる。

でもこれは良い案だぞ。

俺が彼氏を名乗れば美優ちゃんが助かるし、学校内でのボディガードもやりやすいってか。


今の状態だと周りの目が気になってたが、これで気にする事なく彼女の周りにいれる。

ボディーガードとして!

分かった。そう言うことなら協力しますよ。

正直ヘコんでる美優ちゃんはあまり見たくないし、俺が役に立てるのなら。

でもお前分かってるか? ニセコイだぞ!

本当に付き合うのは禁止する。いいか! 絶対だぞ!

白竹さんは……黒澤のこと好きなんじゃないかな。

なんとなくそう思うし、今でも凄い照れてるし。


西部。もう諦めろよ。

同じおっぱいを神と崇める同士。見苦しい場面はあまり見たくないんだ。

じゃあそれで行こうか。この事は俺らだけの秘密にしよう。

これで白竹さんに言い寄る男がいなくなればいいんだけどな。

そうだね。まずは様子を見よう。

黒澤。美優を頼んだよ。

 一瞬だけ、ほんの一瞬だけジトっとした目になった蓮くん。

 すぐに笑顔に戻ると「了解」と返事してくれた。



 

 ※


 ニセコイ作戦。上手く言ったものね。

 本当に付き合うわけじゃなくても、美優はきっと嬉しいはず。


 お話はそこで終わると、男の子三人組は上機嫌のまま別れます。

 そして私達と蓮くんと一緒に下校しますが、今日は喫茶店前まで付いてきてくれた。


 どういう段取りにするか、三人で考えます。

 どんな感じでみなに言うか、どういう風に振舞うのか、そんな話をしてるとあっという間に喫茶店前に到着します。


 その時、蓮くんがこんな提案を出しました。


なぁ。こんなのはどうだろう。

魔樹。お前は……聖奈と付き合う。そんな話にすりゃどうだろうか?

え?
そっか! それなら……

そうすりゃお前に寄ってくる女の子もいなくなるだろう。

実際聖奈だってさ、手を焼いてるんだ。あいつの所にも手紙が来てるし……


これなら、三人全員が上手くいくんじゃないか?

それなら……確かにいい案だね。それでいこう!

よし! 聖奈には俺から言ってみる。きっと賛成してくれるだろう。

こうでもしないと……みんなヘコんでる姿は見たくないんだよ。

でも。でみょ。

蓮くん……本当にそれでいいのですか?


それに聖奈ちゃんだって……イヤじゃないかな?

 美優はきっと聖奈ちゃんに気を使って、そう言ったんだと思う。

大丈夫だよ美優。こんなことで聖奈ちゃんは怒ったりしない。

きっと彼女も賛成するはずよ。みんなにメリットがあるのだから

聖奈は任せてください。あいつにとってもありがたい話なんだ。

大丈夫です。美優ちゃん。

でも……私。

や、やっぱりもう少しだけ考えさせてほしいでし!

どうして? 悩む必要なんかない。この方法は一番最善なのに。

ううん。お願い魔樹……

私は、私のせいで……聖奈ちゃんに、嫌な思いはして欲しくない。

美優。なぜ……

 私には美優がOKしない理由が分からなかった。

 どう考えてもこの手しかない。私達にも聖奈ちゃんにもメリットがあるというのに。


 一人反対する美優。

 ここは強引にでも決めさせようとすると、蓮くんが私より素早く反応した。

分かりました。この件は保留にしましょう。
蓮くん。美優!

美優ちゃんは乗り気ではない。

一人でも意見が合わないのなら止めておくべきだと思う。


他の方法を考えよう。

蓮くん。わたひはその……乗り気というか、わたひ……聖奈ちゃんが……


うんうん。分かりましたよ。

とりあえずは、皆が納得する方法を考えよう。

 何で……なんでなの。美優。


 結局決まらないまま蓮くんと別れると、無言のまま家に入りました。

 私はすぐに美優に事情を聞こうとしましたが、タイミング良く蓮くんからラインが届きます。

まず聖奈に相談してみる。俺もこの方法しか思いつかないし。

とにかく美優ちゃんは聖奈に気を使っているのが分かるから、聖奈さえ納得すればきっと美優ちゃんもOKを出すだろう。

ありがとう。蓮くん。

あなたはとても……頼りになる。

魔優。ごめんね……

わたし。聖奈ちゃんとも仲良くしたい。


だけど……私が蓮くんと仮に付き合うことになったとしたら……やっぱり嫌なんじゃないかって。

分かったわ。この件はとりあえず保留ね。

さぁ……バイトの準備をしないと。

 この件は蓮くんに任せるべき。きっと大丈夫。

 聖奈ちゃんなら分かってくれるはず。


 

――――――――


 次回。本当の私 5 終わり



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登場人物紹介


 ★登場人物でも若干のネタバレを含みます。第一部からお読みいただきますようよろしくです。

 ★逆に第二部の登場人物を先に読んでから、第一部をお読み頂きますと、別の意味で楽しめます。

 

 ★読者視点は神視点。登場人物の心の声も聞こえます。(フキダシの色がこの色)

 ★ 黒澤 蓮 くろさわ れん


 本編の主人公。高校一年

 男女入れ替わり体質。
 
 弟の凛と共に、新天地で新たに生まれ変わろうと、楽しい学校生活を送ろうとする。友人作りに重きを置き、人との付き合いにはとても慎重である。


 自分自身の事よりも、仲間の為ならば凄まじく有能になる。

 ★ 白峰楓蓮 しらみね かれん


 蓮の女性の姿。類稀なる美少女だが本人にはあまり自覚がない。


 外部には黒澤家の親戚(蓮の姉)となっている。

 楓蓮では世間との関わりあいを最小限にしてきたが、徐々に一人の女性として目覚め始める。

 

 自分を理解してくれる人間が増えるたびに楓蓮は飛躍的に成長してゆく。  

 ★ 黒澤 凛 くろさわりん


 小学校六年生

 男女入れ替わり体質。

 

 兄である蓮を慕い、とっても素直で女の子のような性格。
 ことある毎に兄に甘えてしまい、いつまで経っても、子供のままなので、蓮は凛の将来をとても心配している。

 

 二部中盤で凛オンリーの章があります

★ 白峰 華凛 しらみねかりん


 凛の女性の姿。

 外部との接触が無いので、彼女の存在を知るのは黒澤家の秘密を知るものだけ。

 楓蓮と違い、おしゃまさん。

★ 黒澤 玲斗 くろさわ れいと

★ 白峰 麗華 しらみね れいか


蓮や凛のお父さん。ただいま遠方で仕事中。

麻莉奈や平八。ティナとは大親友。


後半から再び登場します

★ 美神聖奈 みかみせいな


 高校で蓮と同じクラスとなる。実は小学四年生までの幼馴染。

 容姿端麗。成績優秀。運動神経抜群。リーダーシップ抜群。お金持ち。


 高校当初から蓮と関わりを持ち、お互いに影響されてゆく。無二の親友?

 記憶喪失だったが、徐々に昔の事を思い出してゆく。


 二人目の主人公。

★ 平八 へいはち 


 聖奈専属の運転手。

 黒澤家の秘密を知っており、蓮の親である麗斗(れいと)とは旧知の仲

 おっぱい職人。ツイッタのフォロワーは10万以上の有名人。

 作中でも最強だと言われるが……

★ 白竹 美優 しらたけ みゆう

 

 男女入れ替わり体質

 蓮と同じクラスとなる。ピンクの髪が目立つ美人。とても内気で、語尾が変になる。

 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は魔優と入れ替わっている

 歌が上手く、全国でも有名な絵師でもある。(エロ同人が本業)

 

 三人目の主人公。 

★白竹 美樹 しらたけ みき


 白竹美優の男性の姿。

 外部では白竹魔樹と名乗っているので、彼を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で厨房担当したり、サイクルの都合上、学校でも魔樹として振舞う。

 男の子の身体で遊ぶのが大好き

★白竹 魔優 しらたけ まゆう


 男女入れ替わり体質。

 外部では白竹美優と名乗っているので、彼女を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で接客担当。サイクルの都合上、学校でも美優として振舞う。

 心の中は女の子なので、こちらが真の姿となる。

 四人目の主人公

★白竹 魔樹 しらたけ まき


 魔優の男の姿。外部に知られているのは魔樹である。

 蓮の隣のクラスで、常にクール。成績も良く、空手や合気道を習得。

 学校内では魔樹王子と呼ばれるほどモテる。


 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は美優と入れ替わっている

 乙女ゲー大好きのツンデレ。

★白竹 麻莉奈 しらたけ まりな


美優。魔優の母。入れ替わり体質。


とてもピアノが上手く、蓮はプロの犯行だと断定。

双子の母だけあり、とても美人だが色々とヤバい人。

男の姿は、でかい上にマッチョらしい。


★ じいじ


 白竹家のおじいさん。喫茶店のオーナー。

 小太りでツルっぱげ。チョビ髭が可愛い。

 厨房担当で楽しい事があると、その場でクルクル回りだす。

★ 染谷龍一 そめやりゅういち


 男女入れ替わり体質。

 蓮と同じクラスとなり、前の席という事で付き合い始める。

 わりと積極的で、クラスでも人気がある。

 楓蓮に一目惚れし、ずっと彼女を追い求める。

 オムライサーでありポニテマニア。

 

 五人目の主人公

★山田 龍子 やまだ りゅうこ


 龍一の女性の姿。

 楓蓮を追って同じ喫茶店で働く事になる。全国でも有名な山田組の人間。

 ケンカが強く、蓮も認めるほど。

 楓蓮に近づく男を排除しようとする俺っ子。

★山田 虎子 やまだ とらこ


男女入れ替わり体質。龍一の弟(妹)

全国統一を夢見る女の子。既にチームを結成しており、チームヴァルハラと名づける。

口調はキツいが、兄弟には頭が上がらない。

デコトラならぬデコチャリで街中を暴走する。

★染谷 翔一 そめや しょういち 


男女入れ替わり体質。龍一の兄(姉)

龍一が恐れる唯一の兄貴。百人でかかっても勝てないらしい。

ただいま、新婚生活真っ最中。

★染谷 桜 (そめや さくら)


 翔一の奥さん。普通の人間。

 とても清楚で大人しそうな美人だが染谷三兄弟は彼女に対し頭が上がらない。

 翔一を女らしくする為、日々調教中。

★百済 紫苑 くだら しおん


 高校二年。軽音部。実家はソッチ系統の百済組。

 楓蓮達と一緒に喫茶店でバイトを始める。関西弁ちっくな喋り方だが、とても優しく後輩想い。

 蓮の同じクラスである、米山まゆこと、坂田沙織は小学校からの付き合い。

 マイブームはマジョリーナちゃん(ミニチュアダックス)を可愛がる事。

★坂田 沙織  さかた さおり


 高校一年。蓮と同じクラス。

 いつもニコニコ。おっとりとした口調でマイペース。

 紫苑と同じ軽音部。ベース担当。

 親が犬のブリーダーで楓蓮に二匹のダックスを譲る。

★ 西部

 蓮と同じクラス。

 事あるごとに蓮に絡んでくるが、その目的は聖奈や美優と接点が持ちたいが為である。

 ツイッター名では「モントゴメリー」。おっぱい職人を神と崇める。

★真鍋

 蓮と同じクラス。西部の友達。

 頭は良く、テストでも上位だが、彼もおっぱい職人を神と崇める。

 ツイッター名は「穴バースト」

★米山 まゆこ (だんじりバージョン)


 蓮と同じクラス。坂田とは昔からの親友で、紫苑は先輩に当たる。

 魔樹王子にベタ惚れてしまい、蓮に紹介してもらえるよう頼んだ。

 バスケ部所属。一年なのに相当の実力を持っている。

★ 三輪 加奈子 みわ かなこ

 

 蓮と同じクラス。坂田沙織の友達で幼稚園からの付き合い。

 男の子同士がホニャララするのが好き。

★ 清原 愛美 きよはら まなみ


 魔樹と同じクラス。米山まゆこと中学時代からの付き合い。

 ちなみに魔樹王子と呼び出したのはこの子。

★ 梶谷


 蓮と同じクラス。西部の友達で小学生からの付き合い。

 バスケ部所属。一年でレギュラー筆頭。

★高坂


蓮と同じクラス。梶谷の友達。

ギャルゲーのアイドルプリンセスをこよなく愛する男の子。

★ 鼻


楓蓮が命名。

その昔、蓮にケンカ売ってきたり、美優をナンパしたり、ろくでなし男であったが楓蓮や龍子にボコられる。だが楓蓮に鼻を治してもらったと勘違いしている。

楓蓮に殴られてから、とんでもなく優秀な男へ変貌する(だがケンカは弱い)

★ヴァルハラメンバー 


 只今メンバーは八人。

 虎子率いるチームヴァルハラメンバー。俗に言う不良だが、楓蓮。龍子。虎子には従順。

 実は全員イケメンレベルだが、とにかく頭も弱く、ケンカも弱い。

 NO表示されており、変なヤツが混じってます。 

 竜王 冴子 りゅうおう さえこ


 高校一年。西部曰く、彼女と美神聖奈。白竹美優を三大美女認定している。

 いつも笑顔。とても愛想が良い彼女だが……

 王二朗曰く、超危険人物。鞄にスタンガンを隠し持ち、女の子を襲うらしい

★ 播磨 王二朗 (はりま おうじろう)


 高校一年。竜王冴子と共に登場。190センチの巨漢であり極道顔。

 とてもじゃないが高校生には見えない容姿に、シルエット姿となっている。

 警官とエンカウントすると、ほぼ職務質問されてしまう。

 ゴリラのモノマネが神がかっている。

★竜王 将哉 りゅうおう しょうや


 萌ゴリと共に現れた男性。とてもイケメンだが萌にナンパーマンであると暴露されてしまう。萌は恋人だと告げるが……楓蓮は最初から将哉を警戒する。 

★稲坂 萌 いなさか もえ


 楓蓮が早朝マラソンに出かけた際に知り合った女性。

 巨漢で筋肉質なので、楓蓮は男だと勘違いするほど。

 とても気さくでしゃべりやすい印象を受けた萌ゴリ。ちなみにラッキースケベ体質。

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