第12話 コフクロウ

文字数 818文字

○東京世田谷区 長谷川瑠美(28)の自宅 9:00pm

秋田美人の瑠美は、東京に出てきて10年、生保レディとして頑張り、良き伴侶健一(29)にも恵まれたが...

(瑠美)ごめん健一、赤ちゃん駄目だったみたい。
(健一)だから、早めに有給とるなり、産休制度を利用するなりして大事にすれば良かったんだ。
だって、生まれてくる赤ちゃんの為に共稼ぎでしっかり稼ごうねって、夫婦で確認したじゃない。
もういい、がっかりだ。今日はもう晩飯はいいから、外で呑んでくる。
このコロナ禍の最中に?
もういいっ!ほっといてくれよ。
バタンっ!
とりつくしまもなく、出てゆく健一。
あーあ、もうやってられないわ。
傷心の想いで実家に戻る瑠美。
しばらく実家に帰ります。 

 by 瑠美

瑠美の故郷は、秋田の山奥、地図にも載っていないような小さな寒村である。
ただいま〜母さん久しぶり。東京で子供を流産しちゃって、気まずいから来ちゃった。
神懸かりの母。
おんま$€£•おフクロウさま=+*^祟る、まーた、$€巣箱$€£•供養%^*

(ほとんどヒアリング不能の東北弁)

読者には分からないけど、わたしには分かるわ。ここで、生まれ育ったから。
明くる日、鎮守の杜の神木に御猪口三人前の赤飯を捧げ、梯子にて高い所にフクロウの巣箱を掛ける瑠美。
あれっ、なんかお腹が熱いわ。
そろそろ、許してやる。
身も軽く実家にかえる瑠美。
お母さん、指示通りにやったわよ。
$€££赤ちゃん&@“戻る:;()東京さ、帰れば()¥&
いいわよ。もう、邪魔になったのね。

東京に帰るわ。

○秋田発〜東京行きの新幹線の車内
なんか子宮が熱いし、動いているような。
トイレに駆け込み、妊娠検査薬で確認する瑠美。
あらっ、妊娠してるじゃない。
(瑠美)あっ、健一さん。赤ちゃん、大丈夫だった。ワタシの取り越し苦労だったみたい。
(健一)あっ、馬鹿だなあ。瑠美、そそっかしいからな。よし、コンビニ行って赤飯買って待ってるから。赤ちゃんの分も入れて三人前だ。
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