なくおんな

文字数 1,563文字

あるひやまみちをあるいているとカッパにであった

いなかだからべつにカッパがでてきてもおかしくないがやっぱりカッパだからおどろいた

うえのほうからおりてきたカッパにあいさつをすると

えぇてんきですなぁとカッパがむひょうじょうにいう

おそろしくはない

かえってゆめのなかのできごとのようでわくわくした

きんかいがこのやまのどこかにうまっているときいたがしらないかとたずねると

くすくすとカッパがわらい

けったいなはなしをした

このみちをまっすぐいくとおおきなもみのきがありそこからさゆうにみちがわかれておりみぎにすすめばさんめーとるくらいのたかさのいわがあってそのうらのあなにすむやまんばにきけばよいという

さぁそれならばひがくれないうちにはやくやまにのぼるがよいとカッパがぶきみにわらう

しーんとしたやまみちをあるいていると

すずめのかおをしたねこにあった

せはいちめーとるくらいでにんげんのようにたっている

そらがくもってきた

たいくつそうにはまきをくゆらしているすずめがおのねこにこのさきにおおきないわがあるかときいた

ちーずをくれたらおしえてやるといわれりゅっくさっくのなかからひとくちさいずのちーずをとりだしすずめがおのねこにあげた

つまらなそうにちーずをたべたすずめがおのねこがいうには

てんきがよいひでないとそのいわにはいきつかないという

とてもきょうはてんきがもつまいという

なんじなんぷんになるとあらしになるからいえにかえりなという

にんげんがたやすくいけるところではないともいう

ぬまにおちたらわにのえじきになるとおどす

ねむそうなかおですずめがおのねこはそういうとそこからきえた

のうきょうではたらいているわたしはいぜんこのみちをとおったきもするのであきらめきれずにのぼっていった

はるのあらしがとつぜんふきあれた

ひるまなのによるのようにくらくなった

ふとちかくでおんなのなくこえがきこえた

へんなかんじだとおもいあたりをみるもしげったもりのなかにおんなのけはいはない

ほんとうはかぜのおとにちがいないとかまわずやまみちをのぼっていくと

まるではじめからわたしのそばにならんであるいていたかのようにしろいきものすがたのおんながたっている

みぎてにじゅずをもちひだりてにろうそくをもっているおんなはひゅーひゅーとかぜのおとのようなこえでないている

むひょうじょうのおんなのかおはめもはなもくちもかくれるほどおしろいでぬりつぶされている

めからはあかいものがながれておりよくみるとちである

もうすぐわたしはやまんばにつれていかれるとおんながいう

やっぱりおんなはないているのだがわたしはひがくれるまでにいわのあるところまでいきたかったのでおんなのはなしをきいているひまはないとおもった

ゆめをみているかんじのままおんなのそばからはなれようとするとおんながそこならいまからわたしがいくからついてきなさいという

よるのようにくらくなったやまみちをおんなのはいたしろたびをみながらついていく

らんぼうなあめがよこなぐりにふりおんないがいはなにもみえない

りすのたいぐんがやまみちをくだってくるがまるでありのぎょうれつのようだ

るいせんがゆるみっぱなしのおんなはわたしはおまえをころすとえんどれすてーぷのようにくりかえしなきながらいっている

れんめんとつづくきおくのだんぺんがとつぜんわたしののうりにうかんできたあああ~そうだったこのおんなはわたしのえどじだいのいいなずけだったおんなでわたしはかねのためにこのおんなをだましたあげくころしたのである

ろうそくのひがゆらゆらとゆれている

わたしはとっさにきびすをかえすときがくるったようにさけびながらやまみちをかけおりた

をかしたつみのむくいはどれだけのねんげつがたとうとうけなければならない

ん……じょうげんのつきのしたおんながどこまでもどこまでもついてくる
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