第3話(1)

エピソード文字数 1,571文字

「あーテステス。現在地は色紙邸の庭、日時は8月10日の丑三つ時。高知に出発1時間前ぜよ!」

 弱体化するため『戦場空間』を乗っ取ったら、テンション高めのフュルちゃんがお空に叫んだ。
 でも今は丑三つ時ではなく、午前8時。恐らくこの子は、丑三つ時しか知らないんだろう。

「ほら、バカやってないで魔法をぶっ放してくださいな。10000発も打たないといけないんでしょ?」
「そうやったそうやった。師匠は『金硬防壁』を展開して、レミア先生とシズナ先生は魔力で相殺する準備をしちょってや」
「あいよー」「にゅむん」「了解しました」

 俺はシールドを張り、二人は肩幅に足を開く。コイツらはこんなので惑星破壊級までは打ち消せるのだから、本におっかない。

「全員、耐える体勢になっちゅうね。よーっし、『赤黄(あかき)の激昂』ぜよ!」

 そう唱えると上空に巨大な黄色い炎の渦が現れ、暴れ馬の如く空と地を駆け回る。

「うわぁー、何もかもが燃えて感電してるー。一瞬で街がなくなったよー……」
「あの炎には雷が含まれていて、熱と電気で相手を傷付けるの。あれに当たると、敵は骨すら残らないわね」
「前にゆーせー君にお伝えしたけど、10分くらいでアジアさんがなくなっちゃうんだよー。初級魔法(しょきゅーまほー)の中では、強いほーかなー」

 これでも初級で、しかも最強のヤツではないのか。もう金輪際、最強決定戦をやる意味ねーな。

「ほい、一発目お仕舞いぜよ。二発目を――またやるのは、味気ないにゃぁ」

 杖を振ろうとしていたフュルが、むむむと唸った。

「今日は初高知という記念すべき日やき、単調は嫌やね。中級魔法を使おうか」
「中級って、ソレは星を壊せるんでしょ? そうなると俺達がいる土地が消滅するんだが、やって平気なの?」

 コイツらは宇宙空間でも生きていられるらしいが、僕は平凡人間だ。『金硬防壁』があっても、ソコは環境が違いすぎるから心配です。

「今回は師匠がおるき、宇宙にある星先生を壊すがよ。シズナ先生、皆で見れるように『遠見』を頼むぜよっ」
「分かったわ。はい、準備できたわよ」

 簡単にセッティングが完了し、フュルが「見るぜよ見るぜよ」と連呼するのでレミアと共に変人に触れた。そしたら視界には宇宙空間が広がるようになり、宇宙飛行士の気分を味わえた。そして変人が「肩ではなく太腿に触れてもらえばよかったわ……! 一生の不覚……っ」と言い出したので、嫌な気分も味わえた。

「師匠も先生らぁも、オッケーやね。そしたらいくでっ、『茶色(ちゃいろ)の滅亡(めつぼう)』!」

 正と負の気分を味わっていると…………これは、月面だな。そこにある地面がボコボコと動き、ドデカイ鍵が飛び出した。

『ほぉほぉ。ここからどうなるんだろうな、優星』

 ソレはクルッと上下が逆さになり、月面にグサ。鍵は真っ直ぐ突き刺さり、錠を開けるようにクルッと一回回った。

「あの鍵が回ると星が滅ぶスイッチが入って、四十四秒後に消滅するのよ。この魔法、久し振りに見たわ」
「にゅむむっ、そーだね。中級魔法(ちゅーきゅーまほー)は久々だよー」
「中級先生は、使う機会がないきねぇ。宝の持ち腐れ状態ぜよ」

 そーんな風に三人が談笑していると、ドカン。大爆発が起こり、お月様は綺麗さっぱりなくなりました。

「うぁぁぁぁ……。月が壊れた……」
「次は、火星先生あたりにしようか。師匠っ、ここからは中級魔法のお披露目会を楽しんでや!」
「お、おぅ。そうしますわ……」

 それから俺は、二百回くらいでしょうかね。星さんが滅ぶところを見て、なんか精神が狂いそうになった頃フュルは弱体化しました。


 よ~っしぃっ、準備完了! 皆っ、旅行に出発だぁ!!(未だ狂い気味)
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登場人物紹介

色紙優星 16歳の少年


高知県生まれの主人公。

リリウという神様の聞き間違えで魔王使いになってしまい、おまけに『究極奥義』と呼ばれる力を何個も持ってしまった高校生。優しく他人想いなのだが、彼はとあるセンスが全くないのであった……。

黒真レミア 16歳の少女


魔王、でありながら伝説の勇者の能力を持つ。冷徹でクールな容姿と声音を持つ美少女だが、性格はほわほわでお子ちゃま。『にゅむ』という独特な言葉を多用し、時にはにゅむのみで会話を行おうとする。例「にゅむーむ。にゅむ。にゅむりん」。

なお愛用の武器である聖剣は魔王の天敵であるため、使うと痺れる。

金堂フュル 16歳の少女


伝説の勇者、でありながら伝説の魔法使いの能力を持つ。元気一杯の猫っぽい女の子で、高知県の英雄・坂本竜馬の大ファン。そのせいで『ぜよ』と中途半端に覚えた土佐弁を使い、主人公のことは『師匠』、仲間のことは名前のあとに『先生』とつけて呼ぶ(例えばレミアの場合はレミア先生)。

なかなかにおバカな女の子。

虹橋シズナ 17歳の少女


伝説の魔法使い、でありながら魔王の能力を持つ。大和撫子然とした容姿を持つ美少女であり、主人公の義理の従妹。

重度の怒られ好き。

とにかく変で厄介で面倒くさい人。

茶操ユニ 18歳の少女


伝説のドールマスター、でありながら伝説のプリーストの能力を持つ。キグルミ族という一族の人間で、閉園したテーマパークのキャラクター・二足歩行ウサギの着ぐるみを着ている。口癖は、ミョン。

実はお笑いにうるさく、親戚は某有名人。

プリースト神 年齢不明


茶操ユニが持つプリーストの杖に宿る、プリーストの神様。

実は……。

橙式エイリ 14歳の少女


伝説のモンスターテイマー、でありながら伝説の召喚士の能力を持つ。所謂スケバン然とした容姿と声を持つが、グループ最年少の中学生でみんなの妹的存在。でもレミアやフュルよりずっとまともで、ヤツらの方が妹的存在な気がする。

野菜が大好きで、とても詳しい。

タンザ・クー 年齢不明


橙式エイリの召喚獣で、俳句世界(はいくわーるど)の王女。

タンザが姓で、クーが名。

二万年後に、地球の傍に誕生する世界からやって来た。


色紙育月 16歳の少女


高知県大豊町在住の、優星の従妹。中学卒業と同時に本格的にピーマンの生産を始め、今ではテレビの取材を受けるほどになっている。


薄幸の美少女然とした容姿と、従兄想いの優しい性格が自慢の従妹です! by色紙優星

謎の声 年齢不明


優星にだけ聞こえる、不思議な声。

なぜか正体を明かそうとしない。

リリウ 神様


願いを聞き間違えて、優星を魔王使いにしてしまった神様。

神様の世界で流行しているゲームに夢中で、神様のお仕事はほとんどしない。

とってもダメな、神様(?)な神様。

麗平活美 16歳の少女


ストロベリーブロンドのドリルヘアーが特徴の、優星のクラスメイト。

お嬢様然とした容姿で気品があるように見えるが、非常に活発。実は……。

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