第6話

文字数 646文字

「二人とも大きくなって……裕太くんすっごく背伸びたね。今何センチ? 結奈ちゃん、サンタ帽似合ってるわよ。ふふ、可愛い」

 私は慌ててサンタ帽を手に取った。恥ずかしい。裕太も照れ笑いを浮かべている。

「お姉さんは相変わらず綺麗ですね」
「そう? ありがとう。でも、あなた達を見て本当に十年経ったんだなあって実感してたとこ。あー年取りたくないよー」

 お姉さんは笑顔で続けた。

「けど、私は今日、二人が十年前のあの日の約束を守ってここに来てくれること……ずっと信じて楽しみに待ってた。だから、ほら……」

 そう言いながら、彼女はタイトスカートのポケットから綺麗に折り畳まれた一枚の紙を取り出した。

「はい、どうぞ」

 受け取った私は裕太と顔を見合せて、ゆっくりとその紙を広げる。

「わぁ……」

 そこには十歳の私と裕太の、未来への約束の文字が並んでいた──。

 それにしても……なんてヘタクソな字だ。

「で、二人は今、付き合ってるのかな~?」

 お姉さんが茶化すように聞いてくる。

「いえ、残念ながらそういう関係では……」

 そう言って私が笑って誤魔化そうとしてるのに、裕太は平気で言葉を被せてきた。

「おれは結奈のこと好きですよ。それだけは十年前も今も変わってないです」

 そう言い切る裕太の表情を見て、改めて気付いた。
 十年経っても、住む場所が変わっても、何も変わっていない。
 いつの間にか私より背が高くなって、頼りがいのある成人になったけど、裕太はあの頃の裕太のまま。

 そして私()、裕太のことが好きな私のままだ──。




[完]

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み