北条 瑠華《ほうじょう るか》 五

文字数 629文字

 A-Projectは、ステージ上で輝く"新しい星"を募集します!
 専用シアター、都内に二箇所、神奈川、埼玉に一箇所ずつ。
 定期公演と、業界との太いパイプによるテレビ出演で、あなたも本当の自分を表現してみませんか?
 あなたの居場所が、ここにある!

 その文言が目に入ったのは、いつものようにインターネットのまとめサイトを見ていた時だ。
 オーディションの開催広告で、随分とでかでかと表示されていたので、思わず目に入れてしまった。

 



 やけに目を引く言葉だ。同時に、とても魅惑的な言葉でもあった。でもこれは、アイドルの募集広告。ぶっちゃけ、私はアイドルなんてガラじゃない。ダンスはできるけど、アイドル的な可愛さとか、一切持ち合わせていないし。
 でも、私はその広告から目を離すことができなくて、気がついたらA-Projectのオーディションについて調べていた。
 この家での生活も、わずかながらに落ち着いてきた今日この頃。それでも私の心の中にぽっかりと空いた、空虚な思い。それを満たしてくれるものはなくて。毎日が、ただ流れゆくだけ。大吾がいたあの日々とは、比べ物にならない。
 圭太と颯汰を見守る楽しみはあったけれど、それとこの胸の空虚な思いはまた別なものだ。
 毎日が、ただ流れゆく。そんな日々に、変化が欲しかった。ただそれだけの理由だ。
 何度も言うけれど、アイドルなんてガラじゃない。
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