第18話「魔王へのリベンジをそんな気軽に思い立つな」
文字数 1,740文字
い、いや待て! 異様にリベンジが早い理由を説明しろ!
あとどうやってここまで警備を突破してきた!?
警備なら「通りまーっす」と言ったら\うーっす/で通してくれた。
異様にリベンジが早いのは、まあ思い立ったが吉日というやつだ。
朝起きて、パン食べて、「今日はリベンジでもするか~」みたいな
魔王へのリベンジをそんな気軽に思い立つな。そんな気軽な挑戦を成功させるウチの警備もどうかしてるが
まあそう身構えるな。
リベンジとは言うものの、今日は戦いに来たわけじゃない
戦いに来たわけじゃない?
はっ……まさか金に物を言わせて魔王城の敷地を買い取り、
「我々の敷地だ、おまえらは出て行け!」とか言う気か!?
そんな事はさせんぞ!
いや、魔王の日常を観察して情報収集をする気だったんだが……。
そうか、そういう手もあるな
ま、今日はそういう目的じゃない。
魔王の生活を観察して攻略法を見つけるという趣旨だ
いやいや、何言ってんだよ。
敵がそう宣言してんのにわざわざ見せるわけないだろ?
とっとと帰れっつーの!
おいおい。魔王ともあろうものが日常生活を見られるのが怖いのか?
そこは「観察なぞ好きにしろ! どうせ俺に弱点なぞないわ!」と
魔王らしくどっしり構えるほうが強者感が出るぞ
それに、魔王を倒そうと試行錯誤する勇者の挑戦を
無下にするなんてお強い魔王様らしくないんじゃないか~?
そ、それもそうだな!
仕方ねえ、俺がウチワがデカいから観察させてやるよ!
デカいのは
うちわじゃなくて器で、
うちわがデカくても涼しいだけだと思うが……
さすが魔王だ! お言葉に甘えて観察させてもらおう!
よし、今日は特別に俺のトレーニングを見せてやろう。
この10kgのダンベルを持ち上げる!
まだ1回しか持ち上げてないぞ!というか落とすな! 危ない!
ふーっ、ふーっ、こういうのは日々の積み重ねだ!
毎日何回も持ちあげる必要はない! 休憩だ!
よし勇者、ゲームやろうぜ! 好きなゲームを選ばせてやるよ
ん? そうか?
じゃあこの赤い兄と緑の弟と愉快な仲間たちがレースするゲームで
ほほう王道だな。
勇者よ、もちろんゲームでもお前に負ける気はないからな?
ふっ、言うじゃないか。俺だって同じさ。
俺にゲームを選ばせたことを後悔させてやろう!
ふふん、コース取り、アイテムの使い方、ドリフトテクニック……。
全て甘い、甘すぎるぞ勇者よ! フハハハ!
なぜだ、なぜ緑甲羅をああも上手く当てられるんだ!?
百発百中じゃないか!
動きが直線だから、遠くの敵に当てようとしても無駄だ。
相手と距離が近い時に使うもんさ
な、なるほど……。くっ、それにしても年季が違いすぎるぞ!
そこまで言うなら、次はスタートから3秒間待ってやろうか?
まあハンデをつけても結果は同じ……
ああ、勇者と某レースゲームをやってたんだ。
いま格の違いを分からせてるトコだよ
なるほど。魔王様はあと数日かかってやっと終わる書類が
手元に残ってるはずですが?
そういう勇者さんは普通に追い出す準備が出来てますが?
警備がザルだったとはいえ、入城許可は出してませんからね
そんな訳で、どうします? お二方?
警備さんもアップを始めましたよ
……勇者よ、いいことを教えてやろう。
こういう時俺がとる行動は常に1つだ
逃げるんだよォ! 勇者ーーーーッ!!(パリーン)
なぜか勇者と一緒になって逃げまわる魔王だった。
結局勇者は追い出され、魔王は手ひどく叱られたそうな。
次回、何もかもが起これ!
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