第8話:軍国主義・日本を離れてヨーロッパへ1

文字数 1,278文字

 その後、安田亀吉は、日本で軍国主義が台頭して嫌な世の中になって来たと、日本の将来に不安を感じた。そこでジェームズ加藤に日本を出て安全な所へ移住したいと言い、どこの国が良いかと聞くとジェームズが米国は駄目、ヨーロッパでは
「スイスは永世中立国を標榜しているが寒くて食糧事情も良くない」

「スペインは内乱があり平和とは言えない」
「消去法で行くとポルトガルなんか良いのでは、と言った」
「寒暖の差が少なく日本との長い歴史もある」
「日本の同じで海に囲まれスイスよりも食糧事情も良いと言った」
「もし政情不安や紛争が起こればスイスに逃げると言う手もあると話した」
 
 そしてフランクリン商事へ行って社員に聞いたりして調べることを約束してくれた。1週間後、ジェームズが、やって来て話を続けた。
「前に話したが1番にポルトガル、2番がスイスで、もしヨーロッパで商売を続けて生活するならフランス南部しかないと話した」
「お金はスイス銀行に預けてスイスかポルトガルで、ひっそりと暮らすか、商売しながら生活するならフランス南部とジェームズが教えてくれ」

ジェームズが、
「お金は円で持たず、ゴールドに替えた方が安全だと話してくれた」
「もし、安田亀吉さんが、本気で移住したいなら三井物産の本居康智という友人がいる」
「だから彼に渡航の手続きや面倒な事も頼むと良い」と話した」
そして、彼との面談の手続きを取ろうかと言ってくれたので、お願いした。

 翌週1917年6月16日に中華街の高級中華料理店の個室で
「ジェームズが、安田亀吉を三井物産の本居康智に、紹介した」。挨拶をした後、
「三井物産の本居康智が移住希望という事は聞き、その理由もジェームズから聞きましたが、個人的な情報を教えていただきますが良いですか」と、聞くので、安田亀吉は、了解した。

 まず、お金はいくら持ってますかと聞くと
「総額40万円、家族の人数と年齢、家族4人、息子2人・23歳と21歳、奥さん・42歳、仕事は小さな商事を経営、借金なし、持ち家もなしと答えた」
これで、内情は、わかりましたと本居康智が言った。

「いつ頃、日本を離れたいと聞くので安田亀吉は第一次大戦の終了後に出かけたいと答えた」
「パスポートは手続きを開始して手に入るまで3ケ月で手続費用は35円と言われ了解した」「資金は、全て三井銀行に預け入れて下さいといわれた」
「ヨーロッパへ到着後、持ち金のうち大部分は英ポンドに替えた方が安全でしょうと言われ、
ヨーロッパに行けば、英ポンドか、または、ゴールド・金を安い時に購入して財産を保全するようにした方が良いと教えてくれた」

 アメリカは、伝統的な孤立主義の外交原則を守り大戦勃発当初は中立を表明した。その一方、イギリス・フランス・ロシアには盛んに武器や物資を援助し、実質的に、連合国に大きく肩入れしている状態だった。ウィルソン大統領は第一次大戦に連合国側に立って、参戦を決意、1917年4月に議会の同意を得てアメリカ合衆国の参戦に踏み切った。アメリカ軍がヨーロッパ戦線に派遣されたことによって戦局は決定的に連合軍有利に転換した。
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