第1話  オープニング   記憶の逸話

文字数 2,288文字

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ハァ…!

黒髪の少女は走る。

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8.…

「ドタバタ」

はぁ…!はぁ…!

オーロラ色に輝く髪を持つ少女は走る。

7…

6…

身体に合わせて視界が揺れる。

5…

疲れた、なぜこんな事に。

4…

3…

目の前の横断歩道。目の前の砂地大通り。

2…

1

「ブプゥゥゥゥウウウウウウ!!!!!!

真っ赤、真っ赤、車。横断歩道。私。

『あっ』



「ヒヒィイィイイィイイイン!!ガリャガラガラツ!!

真っ白、真っ白、馬。馬車。私。

『あぅッ』

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0

「ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

この日、少女二人の運命が入れ替わった。









第一話 記憶の逸話

真っ赤。目の前、赤い色。何が起きたの。さっきまでの真っ白はどこへ行ってしまったの?真っ白って何?私は…

「ドン」

重たい何かが閉まる音。

『君!!大丈夫かい!!

きみだいじょうぶかい…何を言っているのか分からないはずなのに理解できる…

痛っ…!!チクチクとズキズキに飲み込まれそう …

“辛い!!!!!”

視界は真っ白。さっきと同じ、さっき…?

「バタッ…」

『おい誰か…きゅうきゅ…



真っ白、頭の中が真っ白、動けない。横断歩道を渡って……そのあと…?
ここって横断歩道…?砂地…?え…?えっ

「ヒソヒソヒソ」

周りに人がいる。だが誰も手を差し伸べない。

『こいつッ……!!この髪……!!!』

『ヴッうぅ……』

私は死に物狂いで声を出す。誰でもいいから…!早く、助けて!!!!
死んじゃうよ…!!!

私の気が遠のいた。

『だれっか……』



「ジャァーザジャァーシャァァ」

「パチッ」

目が覚めた。暗いな、夜になったのかな?
…うそっ!!まって学校行ってないんだけど…!!!やばっ!!……

『あっ起きたかい?』

暗くてよく見えなかったが前にいるのは、大きめなガタイをしたおばさんだった。
そのおばさんは包丁を手際よくといている。

『えっと…誰ですか…!!!?命だけは!!!!

おばさんはニコッと大胆に口角を上げた。

『あたいがお前さんを助けてやったのさ』

私は鮮明に記憶を掘り起こした。
……………!
真っ白の光景を私は思い出した。

『お前さん、急に飛び出すから馬車と激突しちまっただろ?今度から気をつけなね、あの辺は貴族様の通り道だから』

馬車…?通学路に馬車なんて走っていたかな…。
よく見たらおばさんの服装は、とても日本人の服装とは思えない。無地のミカン色をした大きめのワンピース。そこには白色のエプロンをつけて、頭には三角巾をつけている。

『その、ここはどこですか?』

もしかして、私死んでしまったのかな…それか、はねられた瞬間海外まで吹き飛ばされたとか…

『ここはマグネル王国、庶民地のあたいの家さ』

マグネル…?そんな国あったっけ…でも日本ではないのは確かだ!!

『えっ…!えっ…!ヨーロッパのどこらへん!?

おばさんはキョトンとこちらをみた

『よーろっぱ……?なんだいそれは?』

『じゃ、じゃあアフリカ?アジア?』

おばさんはため息をついて、可哀想だというような瞳でこちらを見た

『お前さん頭を打ってバカになったのかい?』

え…?
本当に知らなそうなおばさんに私は冷や汗が流れた。
だったらここは…


“どこ!?!?!?!?!?






「ピッピッピッ…」

『うっ……』

眩しい光が私の瞳を照らした。
私いったい何があったんだ…

『あっ!女の子の心拍が戻りました!!!』

上から覗き込む人影は、ピンク色で白い色でもあった。
ピントが合ってくると、それはピンク色の服を着た女の人と、白色の服を着た男の人だった。

『わっ……!!!誰!?

私はベッドの感触を確かに、生きていることを実感した。

ツンとした、ミントではないけれどそんな匂いが鼻を突き刺した
私の腕にはたくさんの管が張り付いていて、ピッピッとリズムを刻む、変な柄をした見たことのない生物がいる。

こんな大きなベット初めて見た…もしかして貴族にでも拾われたのかな…
いや、でも、そんな心優しい貴族いるわけが…

『御嶽さん、事故のこと覚えておられますか?』

みたけ…?さん…?事故?

『目の前が真っ赤になって…全身が痛くて…』

女の人は優しそうな笑顔で微笑んだ。

『もう大丈夫です、私たちが全力を尽くします!』

やっぱり、優しい貴族なのかもしれない…!!
私はとても感動してしまった。

『あなた方のような心優しい貴族と出会うのは初めてです…!!どうかお礼をさせてください!!

女の人と男の人はキョトンとした。

『僕たちは貴族ではありませんよ?』

男の人は頬杖をついて悩んだ顔をした。

『この子には何か精神的にあるのかも知れないな……カウンセリングをつけよう……』

私は少し戸惑った。貴族ではないなら…一体誰なのか。
そしてここは…

『ここってどこですか?』

『病院ですが…』

女の人が驚きながらも応える。

『病院…?ここが…!?この国には貴族専用病院しかありませんよ…!?
私確かに、こんなドレス着てるから貴族と思われるかもしれませんが…この髪色をご存知ないのでしょうか…?』

『ドレス?髪色?あなたは至って普通の高校制服と、黒色の髪ですけれど…』

私の思考がピタリと止まった。見知らぬ生物に見知らぬ白い部屋、見知らぬ病院、見知らぬ人間…もしかしたらここは…異世界…?

私が何かとぶつかって…目の前が真っ白になって…私って死んだの!?

『あっあの…鏡を!!鏡をください!!!』

女の人は病室から走り出て、すごい速さで小さな手鏡を持ってきた。

鏡をゆっくりのぞき込む


『あ…あ….』







“だれ!?!?!?!?!?









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