おまたせ和音！（闇）
文字数 1,672文字
放課後の図書室
（さてと。この前の本の続きを読まなくちゃ。）
（確か次の章に簡単な診断コーナーがあったはずだから楽しみ。）
タイトル「スピリチュアルパワー入門」
（えっと、どれどれ。）
（問1：・・・・）
（はい。）
（問2：・・・・）
（はい。）
・・・・・・・
診断結果：「あなたはスピリチュアルパワーを持っている可能性が高いでしょう」
（やっぱり！）
（ピンチになっても、なんだかんだで回避できちゃうのは
潜在的に持っているスピリチュアルパワーのおかげなのかな！？）
（言われてみればこの前も、お弁当食べる相手がいなくて
便所飯を覚悟してたときも、突然明穂ちゃんが来たから回避できたし）
（引っ込み思案で思うように動けない性格だけど、
スピリチュアルパワーを与えられた
代価みたいなものだったのかなぁ）
（でもでも、偶然が起きただけで決めつけるのもアレだし、
この本も子どものお遊びと言われればそれまでだし、
何かもっと、決定的なパワーが見られればいいんだけど。）
（そういえば角の占い本コーナーに似たような本が他にもあった気が。
のぞいてみようっと。）
ﾃｸﾃｸﾃｸﾃｸ
ガラガラガラガラ
（うーん、星座占いとかしかないなぁ。
他にもあった気がするんだけど、借りられちゃってるのかなぁ。）
（あ、そろそろ明穂ちゃんと待ち合わせの時間になるし、
片づけて校門に向かわなきゃ！）
（・・・・・・・・？）
（・・・・・・・はっ！！！）
（どどど、どうしよう。いつの間にか図書委員さんが帰っちゃって、
外から鍵かけられちゃった。うう。。）
ガラガラガラガラ
（内側から開けて出られたけど、
また鍵を借りてきて閉めないといけないなぁ。）
（図書室の鍵って職員室にあるんだっけ・・・。）
ﾃｸﾃｸﾃｸﾃｸ
先生A「それでは定時になりましたので、職員会議をはじめます」
先生B「まず、来週の水曜日ですが、避難訓練が・・・・」
（うう、どうしよう。鍵を借りたいんだけど、
職員会議がはじまっちゃった。入りにくい・・・・。）
（しかももう5時になっちゃったよぉ・・・。
明穂ちゃんを待たせちゃってるし、
図書室の鍵かけないといけないし、うう、、困ったなぁ。）
（うぅ・・・・。明穂ちゃんがいないと、私・・・。）
（と、とりあえず、明穂ちゃんは校門にいるはずだから、
事情を説明に行かないと・・・。）
ﾃｸﾃｸﾃｸﾃｸ
（あれ！？明穂ちゃんがいない！？
待ちくたびれて帰っちゃったのかな？
どうしよう、私がうじうじしてるばっかりに。うぅ。）
（・・・・・・・・）
（・・・・・はっ！）
（待ち合わせの時間「5時」って言ったけど、
まさか「朝5時」の間違いだった！？
「17時」じゃなくて「5時」って言ってたよね、間違いなく）
（いやいや、さすがに夜通し部活して
朝の5時に集合してそこからクレープ食べて帰るなんて
あり得ないよね・・・。
そんな朝早くからクレープ屋さんやってないよ）
（そこ！？）
（ってそうじゃなくて、明穂ちゃんは部活のお手伝いで
長引いてるんだろうから、やっぱり私は職員室で
図書室の鍵を借りてこないと！）
（とは思ったものの、職員会議終わる気配ないし、
うぅ。どうしよう・・・）
ダダダダダダダ
先生ーーーーーーーーーーーーーーーっ！！！
あ、明穂ちゃん。
（うわ！スピリチュアルパワー発動！？
やっぱり、私・・・・）
和音！どうして職員室の前に突っ立ってるのよ！
連れ去られたと思って心配しちゃったじゃない！！
ごめんね明穂ちゃん。実は・・・・。
職員室に入るとたくさんの先生に注目されたけど、
明穂ちゃんは堂々と図書室の鍵を借り、
無事に戸締りも完了。今、帰り道でクレープを食べている。
今日もずっと勉強してたんでしょ？
あとで宿題のところ教えてよ！
へっ！？う、うん。
（い、言えない・・・。スピリチュアルパワー入門に夢中で
1問も手をつけてないなんて、言えない・・・。）
と、ところで明穂ちゃん、今、何時か分かる？
ん？まもなく6時よ？時計忘れたの？
って、和音も時計してるじゃない！！
（6時・・・・だよね。）
もう、おかしな和音ね！あっはっは！
