純文学(国外)

エピソード文字数 2,418文字

スタンダール『赤と黒』


近頃のありきたりな恋愛小説に飽きてきた。

そんな君におすすめしたい。

世界に名を知られる大作家にして恋愛の専門家。

スタンダールの紡ぐ『赤と黒』こそはまさしく世界一の恋愛小説。


時はフランス革命より少し後。

かの残虐なる熱狂の火も冷め切らぬ頃。

貧しくも野心に燃える少年ジュリヤン。

彼の心の激しい動きが驚くほど鮮やかに描かれる。


人を好きになることは、かくも複雑な思考を経るものか。

スタンダールお得意の恋の7段階は物語にて強い説得力を見せる。

登場人物たちの心は激しく何度も揺さぶられる。

読み手はきっと、大いに疲弊することでしょう。


物語終盤の劇的な展開。

結末のあっけなさ。

さらに結末を超える狂気にも似た恋愛の発露。

これほどの恋愛劇は古今東西めったにお目にかかれません。

おう、久しぶりの書き込みだから、反応が遅れちまったぜ。

俺はフランス語はわからんので、大岡昇平訳(古谷健三 共訳)で読んだ。だが、『恋愛論』は読んでいなかったりする。

やはり19世紀のフランス文学からは小説の書き方について多くの知識を得ることができる。特に、スタンダール、バルザック、フローベールの三人の小説からだな。

『赤と黒』の結末については、「煮詰まった挙句の取り繕った結末」と解する人間と「人生の儚さを表現した結末」と取る人間に分かれるため、俺はここでは言及しないぜ。すまんな。

ミルトンか……。

お上はダンテ『神曲』やボッカッチョ『デカメロン』などルネサンスの時代の作品を好んで読む。ルネサンスに含まれるか人によって意見が違うが、シェイクスピアの作品もな。

ただ、悲しいことに、他人にそのことを言っても、「でも、昔の人の作品でしょ?」と一蹴されることばかりだ。

そのあたり、日本の大学の弊害と見做すか否か。トマス・ピンチョンを読むと言ったときは賞賛されたんだけどな。ピンチョンも読んだことあるだけで、別に絶賛はしなかったのだが。

それこそ、遡れば、『ギルガメッシュ叙事詩』やホメロスの作品も読んでるが、誰のせいかは知らんが、今の時代、褒められることはないな。

騎士道ものは専門の道に進まない限り、触れることすらないよな。

大学の文学部でも、「中世は騎士道ものが文学の中心だった。そして17世紀になり、”アンチ騎士道”ものである『ドン・キホーテ』が登場して、文学の世界は転回点を迎えた」って感じで軽く触れるだけだ。

確かに、ほとんどの騎士道ものは荒唐無稽と言わざるを得ないが……

お上はいわゆる、モダニズム、ポストモダニズムと呼ばれる小説も読む。そして毛嫌いしているわけでもない。

だが、嗜好的には古典に寄っている。

上の方でルネサンス期の作品を偏愛していることは書いた。

他にも紀元前だったら、ウェルギリウスやオウィディウス。ルネサンス以後だったら、フランソワ・ラブレー、ミゲル・デ・セルバンテス、ローレンス・スターンを好んで読む。

お上は文学が専門ではないため、ずれたことを言うかもしれないが、実存主義(フランツ・カフカ、アルベール・カミュ。ジャン・ポール・サルトル)~モダニズム(ヴァージニア・ウルフ、ジェイムズ・ジョイス、ロベルト・ムージル)~ポストモダン(フィリップ・ロス、ミシェル・フーコー、ジル・ドゥルーズ&フェリックス・ガタリ)の思想は「人間が社会を規定するのではなく」、「社会が人間を規定する」方向に動いている。

その根源を探れば、ジークムント・フロイトが「無意識」の概念を取り入れたことにたんを発すると考えている。

お上は20世紀の以降の文学・思想に嫌気が差して、古典に範を求めるようになった。

特に影響を受けたのは、D・H・ローレンスの「性」、ダンテ・アリギエーリの「神の愛」、ジョバンニ・ボッカッチョの「性愛」、レフ・トルストイの「天然気質」だ。

上に挙げた四人に共通することは社会から押し付けられた人間ではなく、人間本来、自然と言ってもいいがそこにそこに備わっている性質の発露に重きを置いている。

今回、オススメするのはルートヴィヒ・ヴィトゲンシュタイン「論理哲学論考」だ!

哲学書が純文学なのかは謎だぜ!

「哲学書は何言ってるかちょっと……」という人が多いだろうから、普通だったら哲学書は紹介しないのだが、この本、めちゃくちゃ中二心を刺激する。

もはや中二病のバイブルと言ってもいいくらいだ。

内容を超簡潔に言うと、「世界のなかで、何が成立して、何が成立しないかを言語学の観点から考察した」ものだ。

その中身を認識論と取り違えられることがあるが、分析哲学に分類した方が正しい。

いつか「論理哲学論考」を全力解説したチャットノベルを書こうと考えている。

今回、布教するのはフィリップ・ロス『さようならコロンバス』だ!

ロスは現代アメリカ文学で最もノーベル文学賞に近い作家と考えられていたが、去年、亡くなってしまった。

ポストモダン作家の旗手とされていたが、実際のところ、幅広い作風であり、テーマも

「ユダヤ人の苦悩(ロスはユダヤの血が入っている)」「人をアウトサイダーに追いやる見えない力」「アメリカそのものが抱え込んだ社会的な欠陥」

など多種多様に渡り、無茶苦茶な文章を書くこともあれば、理路整然とした文章を書くこともある。

『さようならコロンバス』に関しては、男女間に存在する相いれない溝を描き出している。特に避妊具を巡り、登場人物たちがそれぞれの持論を展開する。

この小説がラブロマンスだったならば、最後には避妊具を巡る一悶着に決着がつき、主人公たちは恋人同士になる。

しかしこの小説では、男性から見た避妊具、女性から見た避妊具、それぞれの立場を主人公の二人は譲らない。そして、少しずつ互いの意見の違いが浮き彫りになっていく。

 その結果、自分たちのあいだにある溝の深さに気がつき、主人公は恋人のもとから去らざるを得なくなる。

この小説は青春小説としても読めるし、フェミニズム小説としても読める。


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登場人物紹介

瀧川紅月(たきがわべにづき)


ここの管理者代理。

拙作『頭狂ファナティックス』第一部のメインヒロイン。

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