クーベル編⑯そういうことに、しておこう

エピソード文字数 1,472文字


「というわけでお姉ちゃん、ここからは暴露タイムです。知ってること、想ってること、全部吐いちゃってください」
 腕組みをして立つ私。
 正座して向かい合うプラリーネちゃんとお姉ちゃん。
 空気を読んで、他のみんなは一階に移動してくれた。
 先に切り出したのは、お姉ちゃんだった。
「あの、プラリーネちゃん? ごめんね。でも、ちゃんと知ってたわけじゃないの。ただなんとなく、そうじゃないかって思ってて」
「それはどうして?」
 私は問う。
「私にはお母さんと同じ魔法、相手の魔力の質や得意魔法を映す魔眼があるの。その力を通して、プラリーネちゃんがテリーヌの娘なんじゃないかってこと、最初から思ってて」
「はじめて……はじめて会った時から?」
 とプラリーネちゃん。
 お姉ちゃんは頷いた。
「でも、恨んだりなんてしてないのよ? あの時は、純粋にまだ幼いあなたたちを放っておけなくて。今では、二人とも大切な妹で家族だと想ってる。本当よ?」
「わかっておる。ショコラ姉が我を想って秘密にしてくれてたのも、わかってる。でも、話して欲しかった。打ち明けても我なら、私なら大丈夫だって、信じてほしかった」
「ごめんね。信じたかった。プラリーネちゃんは強い子だから、自分は自分なんだって乗り越えてくれるって、信じたかった。でも、心配で。ごめんね、弱いお姉ちゃんで」
 お姉ちゃんがまた涙をこぼす。
 今度は、プラリーネちゃんがお姉ちゃんを抱きしめた。
「ううん。いいよ。もういいの。気にしないなら。だからこれからは、私のこともっと信じて? 私も、我も、ショコラお姉ちゃんのこと信じてるから」
「プラリーネちゃん……」
 ぶわっ。
 これまで以上に、洪水みたいな涙を流すお姉ちゃん。
 私も、目が熱いよ。
「ありがとうプラリーネちゃん! ありがとう! だいすきだよーっ」
 抱き合う二人。
 これで仲直りかな?
 一件落着。
「クーちゃんもだいすきだよー!」
「クー姉、我も大好きだ!」
 と思ったら、飛び火した!
 私は二人に押し倒されて、しばらくの間涙で濡らされ続けた。
「ところでさ、私にもなんかそーゆー過去とか、あるのかなぁ、なんて?」
 どさくさに紛れて、聞いてみたよ。
 私もプラリーネちゃんも、赤子の時に孤児院に拾われたらしいから。
 私は私の過去を、よく知らない。
「ごめんなさい、なにも知らないの。これは、本当」
 お姉ちゃんは言った。
「で、ですよねー」
「でも、クーちゃんがどこの誰の娘でも、私の妹よ?」
「我の姉でもある」
 キュン、と来た。
「お姉ちゃん、プラリーネちゃん……」
 今度は私が泣く番だった。


 ちなみに。
 後日くしゃみが再発したので、お姉ちゃんは魔法薬師に診てもらった。
 病名は、花粉症。
 特定の花粉を浴びると、くしゃみや目と鼻のかゆみが出るアレルギーだって。
 死にはしないし、春の間だけ。
 考えてみたら、お姉ちゃんが目をこすっていたのは、ノエルちゃんと会った後ばかりだった。検査してみると、アレルギーの元は桜だと判明した。
 なので、ノエルちゃんがお姉ちゃんと会うときは、桜の魔法を使わず、白衣もはたいて花粉を落としてからになった。
 なんじゃそりゃって感じ。
 結局、私の苦労は無駄だったのかな。
 ううん。この一件で、私たち姉妹の絆は深まった。私は魔法武器職人として成長もしたし、プラリーネちゃんは助手としての実力を上げた。
 だからきっと、無駄じゃないんだ。
 そういうことに、しておこう。


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