にんにんにんじゃなのぼくは
文字数 1,164文字
季節外れの雪が降り注いだ夜
婚活パーティーでいつものように惨敗した帰り道……俺は
公園のベンチで膝を抱えているおっさんを目撃した
こんなおっさん、普段だったら絶対にスルーするのだが……
婚活パーティで、誰からも相手にされなかった直後だったせいだろう
同情、優越感、孤独の共有、自己投影……
様々な感情がない交ぜになり、このおっさんに声をかけさせた
声をかけてから、自分がしたことの危うさに気がついた
しかし幸い(と言うのは悪いが)、おっさんは見るからに衰弱しているし、多分大丈夫だろう
俺は財布から千円を手渡した
おっさんの事情は全く聞かずに金だけを渡して立ち去った
別に金が無くて腹を空かせていたとは限らないのに……
やはり俺は単に、「いいこと」をして、少しでも気分を晴らしたかっただけなのかもしれない
グダグダと考えても仕方がない
俺は帰ってすぐに寝た
それきり、そのおっさんのことを思い出すこともなかった
~一週間後~
>ピンポーン
ガチャリ
ドロンッ
ドロンッ
もちろん疑問は山ほどあったが……
俺はとにかく暇だったし、誰でもいいから会話する相手が欲しかったのかもしれない
たとえその相手が、得体の知れない、自称・忍者だろうと