短歌

文字数 601文字



組み立てた線路に汽車を走らせる少年の背を陽が包み込む

「死ね」という言葉によって君の持つ説得力が自殺したのだ

うんこ味のカレーの方を真剣に選んだ君の頬に飯粒

トリックオアトリートか何か知らないが悪いガキには容赦はしない

教室の聞こえよがしの非難から逃げたトイレの壁は冷たい

学級会 トイレでズボンを脱がされた話にみんなで耳すます午後

朝早く自転車こげば誰にでも挨拶をする人が流れる

精神科デイルームにて四十代男四人で語るフーゾク

安全を求めるうちに狭い方暗い方へと追われる獣

おっぱいが当たる気がしてうっとりと開けた口へとドリル挿入

震災後二度目の夜にラジオから「こども音楽コンクール」 切る

閉めきったファミリーマートを覗き込む男が去らぬ3・13

「どうでもいい男ばかりが言い寄ってくる」と聞こえてズタズタになる

愛の裏の裏の裏の裏の裏 きみ守るため握ったナイフ

「それだけのことだ」と言って長ーーーーーーーーーい説教終える

電柱に青い手さげがぶら下がる中身を見たら戻れぬ予感

朝起きて「おやすみなさい」のメール読みそれに答える日本語がない

噛む強さ知ってる猫を傷つける言葉の深さ知らないで抱く

括弧内単語バラバラ殺人の[発見,容疑者,された,全裸で]

5000円 母が暮らしに困り果て質屋に入れた結婚指輪

「いまごろは工藤はどうしているのか」と思い出したの誰? いつ? どんな?

歯についたチョコフレークを爪で取りひとりぼっちを謳歌している
2017/07/14 16:10
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