第8話 あの胸にもう一度……
文字数 400文字
駅からの帰り道、急ぎ足で追い越していった女性が、振り向きざま俺の名を呼んだ。美人だったが全く記憶にない。
人違いですね? と言いかけた時、いきなり俺の腕に手を回して耳打ちした。
「恋人のフリをしてください」
歩を進める度に胸の膨らみが俺の腕を包み込む。束の間の幸福を感じ始めた頃、彼女は立ち止まってこう言った。
「変な人に追いかけられてたんです。助かりました」
納得して別れたものの疑問が湧いた。なぜ俺の名を? 職場にも同級生にもあんな美女はいない。
その晩、あの胸で口を塞がれて窒息する夢を見た。
考えるのを諦めた頃、通院中の歯科医院で衛生士に頭を下げられた。
「先日はご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」
この人だったか!
マスクの向こうの顔を思い出しながら俺は彼女に身を委ねた。
口の中で器具を動かす度に胸の膨らみが頭部を刺激する。
この胸に顔を埋めて窒息死させてくれ……と俺は心から願った。
人違いですね? と言いかけた時、いきなり俺の腕に手を回して耳打ちした。
「恋人のフリをしてください」
歩を進める度に胸の膨らみが俺の腕を包み込む。束の間の幸福を感じ始めた頃、彼女は立ち止まってこう言った。
「変な人に追いかけられてたんです。助かりました」
納得して別れたものの疑問が湧いた。なぜ俺の名を? 職場にも同級生にもあんな美女はいない。
その晩、あの胸で口を塞がれて窒息する夢を見た。
考えるのを諦めた頃、通院中の歯科医院で衛生士に頭を下げられた。
「先日はご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」
この人だったか!
マスクの向こうの顔を思い出しながら俺は彼女に身を委ねた。
口の中で器具を動かす度に胸の膨らみが頭部を刺激する。
この胸に顔を埋めて窒息死させてくれ……と俺は心から願った。